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 伊賀市立上野総合市民病院は、医師らを中心とする医療チームが消化器がんの患者に対する化学治療と組み合わせた魚油成分を付加した栄養療法の有用性についての論文をまとめ、治療の継続期間を平均で80日間延長させることができたとする臨床結果を発表した。英国の電子版科学雑誌「SCIENTIFIC REPORTS(サイエンティフィック・リポーツ)」が論文を掲載している。【栄養療法の臨床結果について説明する三木院長(右端)ら=伊賀市役所で】

 同病院の三木誓雄院長や田中光司副院長、三枝晋外科部長、白井由美子管理栄養士が伊賀市役所で記者会見を開いた。栄養療法は併設する「がんサポート・免疫栄養療法センター」で2011年から取り組んでいる。
 臨床試験の期間は15年4月までの3年間で、対象は全て外来患者で、30歳から85歳(平均67歳)の抗がん剤治療だけの91人と、抗がん剤などの化学治療と栄養療法を最低6か月以上併用した37人の計128人。全患者の6割はがんが最も進行したステージ4だった。
 同病院の説明によると、栄養療法を併用した患者の臨床結果では、魚油に含まれる「EPA」(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が入った市販の栄養剤を一定期間摂取したことなどで、抗がん剤が効きにくくなる体内の炎症反応を抑え、筋肉量も増加。重篤患者の栄養不良状態を改善し、、5年生存率も向上したという。
 栄養療法は患者個々の栄養状態や筋肉量、1日エネルギー消費量を測定し、食事内容や栄養剤の選択、筋力低下防止の運動リハビリも指導する。同病院では栄養療法の有効性をさらに高めるため、5日間の入院プログラムも始めている。
 三木院長は記者会見で「高齢化が進む社会で、伊賀地域から先駆的ながん医療モデルを世界に発信できた」と話した。