170717_11.jpg  「芸能人の乳がん報道もどこか他人事で、まさか自分がなるなんて思わなかった」と振り返る、名張市の永幡由紀恵さん(46)。昨年9月下旬に右乳房全摘手術を受け、現在は日常生活に戻ったが、自身の体験から「不安に思うことがあるならすぐ検診に行って」と呼び掛けている。【谷山さん(左)の記事を読んだことで「勇気をもらえた」と話す永幡さん】


 昨年4月、長年可愛がってきたインコの「チーちゃん」が死んで落ち込んでいたころ、脇の下に「できもの」があるのと、胸の張りが気になり、翌月に何気なく検診を受けた。脇に問題はなかったが、「右胸に影がある」とのことで、3種類の再検査を受けた。

 そんな時、YOUに掲載された乳がん体験記事に出ていた谷山貞子さんに「会って話してみたい」と相談。「とても穏やかな方で、励まされた」と永幡さん。9月に出た精密検査の結果は「悪性浸潤性小葉がん」。小葉は乳房の奥にある母乳を作る所で、診断が確定しても自分ではしこりが分からなかったそうだ。

 9月に三重大学病院で手術を受けたが、8月の検査で1・7センチだったものが手術時には2・3センチになっていた。「もしあの時検診に行っていなければ、もっと進行していたと思う。チーちゃんが病院に行けと導き、谷山さんに背中を押された」

 術後の病理検査の結果は、進行度・病期がステージⅡa、性質を表すサブタイプが「ルミナルA」だった。サブタイプは5つあり、その中で同タイプはおとなしく増殖スピードが遅いタイプだ。

 投薬と経過観察は今後も続くが、仕事に温泉に趣味にと忙しい日々を送り、現在飼っているインコの「ふぅちゃん」に癒やされている。「これからは、やりたいと思ったことは先延ばしせず、何でも楽しみたい」と話す。

 年末には、乳がんで29歳の妻を亡くした経験を基に各地で講演活動を続ける読売テレビの元アナウンサー清水健さんに、乳がん宣告に泣いたこと、再発の恐怖、不安などをつづった手紙を書いた。便りを送った10日後には清水さんから「大丈夫。いっぱい泣いてもいい。でも笑いましょう」と返事が届き、感激の涙を流したという。

 「同じ病気を体験した人と話をするだけでも心が安らぐ、寄り添ってもらえる」。谷山さんと会ってそう実感し、清水さんのはがきで励まされた永幡さん。「いつか清水さんが伊賀地域にも講演に来てくれたらいいな」と話した。

2017年7月8日付703号1面から

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