伊賀市は4月21日、市議会議員全員協議会で市役所現庁舎を利活用するにぎわい創出事業について説明した。全員協で同事業が議題になるのは3月の改選後初めてで、市は新たな資料を提出し、4度目の提案となる基本計画や設計費などの改修経費を6月定例会の補正予算に盛り込む考えを示したが、議員から疑問が相次いだ。

 市は現庁舎を図書館や大手コーヒーチェーン、三重大学の国際忍者研究機関などが入る複合施設に改修する行政案と、解体新築をまとめた市議会案、官民組織「賑わい創出検討協議会」の主案をそれぞれ項目別に比較。行政案が整備スケジュールや費用負担、来館予想などで他の案より優位だとした。
 また、現庁舎と同じ坂倉準三氏の設計で建設時期も近い現在改修中の神奈川県庁舎と比較した検証資料と機能配置案、今月3日にあった市民説明会のアンケート結果を新たに追加。担当の中心市街地推進課は「時間的制約があり、合併特例債などを活用するためには基本計画、基本設計、実施設計を一括しなければ工期的に困難。6月議会までに十分な協議をさせてもらいたい」と理解を求めた。
 議員からは「説明が改選前とあまり変わらない」といった感想や、来館者予想を年12万人としたカフェ機能に新築なら入居しないという大手コーヒーチェーンを想定した行政案に対し「1業者に特定した話なのに、(市側は)業者を特定していないと答える。資料に載せる必要があるのか」といった意見が出た。
 また、総務省の簡易計算ツールで試算した経済効果について「十分な裏付けがなく、市民にきちんと説明できない」、運営主体が決まっていない点について「図書館やカフェ、忍者研究施設ありきでなく、オープンにやるべきではなかったか」という声が上がった。
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