身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。昨秋から間隔が空きましたが、新しい年となり、再スタートを切りました。今回は、伊賀市北部の阿山地区を歩く約7.5キロのコースです。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 石川から千貝へ。正面には霊山の山並み】

 1月中旬、伊賀地域は雪と寒波に包み込まれましたが、雪の残った景色を求め、1月18日に阿山へ。同市の午前9時の気温は氷点下0・7度で、明け方には氷点下3度を下回るなど、厳しい寒さは続いていましたが、幸い晴天に恵まれました。

【陽夫多神社の境内にはハボタンが並んでいた】
 
 午前9時、市阿山支所前をスタートし、まずは南方にある陽夫多神社へ。残雪が凍て付き、バリバリという足音(?)が静かな境内に響きました。2月18日には奇祭「裸々押し」が行われることでも知られています。
 
 落葉し枝だけになった阿山小学校校庭のセンダンの木を見ながら南へ。徐々に気温が上がり、民家の屋根からは小さな雪の塊が落ちてきました。河合川を渡り、正面にある太陽のまばゆさに少し驚きながら、田の中の道を進みます。
 
 東に進路を変え、交通量の多い県道甲南阿山伊賀線を横断して田中の集落へ。南向きの土手の霜や雪が溶け、水蒸気が白くもやっています。雪の上を2羽のセキレイが歩いていましたが、じっとしていたら雪で保護色のようになっているのでは、と思いました。
 
 黄色い実がたくさん付いたキンカンの木に目を向けていると、用水路から鮮やかな青い鳥がすごいスピードで飛び立っていきました。カワセミだったでしょうか。凍った田で照り返す太陽の光がまぶしいほどです。
 
 県道と並行する小道を北へ歩き、馬田の集落へ。日は当たるのですが、なかなか雪は溶けていきません。一度県道に出て、東側に点在する千貝の集落へ坂を上ります。左手の池はほぼ氷結していますが、水面が出ているところには数羽の水鳥が羽を休めていました。
【阿山中学校の北側山間部を通る道沿いには深い残雪が】
 
 屋上の天体ドームが目を引く阿山中が近付き、県道を横断。そこから先は路面が凍結し、排水管から溝に落ちる水は板状に凍っています。慎重に坂を下り、民家が途切れると、雪が溶けずに深いわだちが続くため、滑らないよう雪をザクザクと踏んで進みました。
 
 雪を踏み続けて靴が冷たくなってきたころ、ようやく石川の集落へ。民家の軒先には、雪だるまを作ったであろう、雪と泥の混じった2つの球体が置かれていました。県道河合丸柱線を横切り、勧請縄の架かった河合川をみたび渡ります。
 
 川沿いに進み、集落が途切れるやいなや、道はアイスバーンとなりました。日陰をそろそろと進むと、川の淵には茶色の鳥が。カメラでとらえきれませんでしたが、オシドリのようです。井堰を過ぎると氷は溶け、正面に千貝の集落と霊山が現れました。
 
 あとは太陽に向かってのんびり歩くだけ。スタートから約2時間、阿山支所前に戻ってきました。歩数計は1万225歩。地域によっては目にする機会の少ない雪ですが、ウォーキングの際は景色に気を取られすぎず、足元に十分気をつけてください。
 
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雪の阿山を歩く 伊賀市北部の7.5キロを開く

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