身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。9月に入り、朝晩は少し涼しくなってきましたが、まだまだ日中の暑さには堪える方も多いことでしょう。暑さの峠は越したと判断し、てくてく歩記を再開します。今回は、伊賀市の中央部を東西に流れる久米川の周辺を歩く約5・7キロのコースです。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 収穫時期を迎えた久米川沿いの水田】

 9月2日の午前9時20分、四十九町の県伊賀庁舎前をスタート。空はなんとか晴れてはいますが、ほとんどが白い雲といった様相で、街路樹がざわざわと揺れるくらい風があるので歩くには幸いです。

 上野卸商業団地の西側を北へ進み、名阪国道をくぐって久米川を渡ります。川面は日差しでまぶしく、川原の茂みからはサギがくちばしをのぞかせて獲物を待っています。伊賀白鳳高校の第2グラウンド脇を歩いていると、伊賀鉄道のピンク色の忍者列車が過ぎていきました。

【古いレンガ造りの桑町越線橋】
 
 住宅地に入り、伊賀鉄道に架かる古いレンガ造りの桑町越線橋へ。撮影スポットになっている場所で、橋のそばには列車の通過時刻が分かるよう、時刻表が貼ってありました。あいにく通過列車は20分ほどないと分かったので、再び足を進めます。
 
 郵便局の十字路を南に折れ、神社近くの木陰で休憩。ここから桑町駅付近の鉄橋を渡る列車が撮れるかと時計を見たものの、まだ残り10分……。諦めて下流方向へ。国道422号を渡り、再び久米川を渡ると久米小学校の前に出ます。
【堤防上の「野がけの桜」】
 
 天神橋という小さな橋でみたび久米川をまたぎ、堤防の道へ上がると、桜並木の脇に「野がけの桜」と記された小さな石碑が。毎日この辺りを自転車で通っていた高校時代を思い出しながら、満開の桜を思い浮かべて歩きました。
【稲刈り作業が進む四十九町南部付近】
 
 久米川に架かる橋を渡るのは今日4回目。南岸には水田が広がり、既に稲刈りが始まっています。名阪国道をくぐり、側道を山沿いに。今回の行程で一番西に当たる八幡神社と九品寺のあるところまで来ました。
 
 今は使われていない旧守田浄水場を一目見て、四十九町へ続く道へ。ほどなく道端に「文化財 石造十三仏」の文字があり、白い岩に地蔵や十三仏が刻まれているのが分かります。そこから少し進んだ右手にも同じような十三仏がありました。前方が開けると、稲刈り真っ最中の広々とした耕地が広がっています。
【国道422号の高架橋をくぐる伊賀鉄道の列車】
 
 南に開けた四十九町の集落を進むと、遠くに再びピンクの忍者列車がゴトンゴトンと進んでいくのが見えました。刈ってはさ掛けされた稲の束越しに“稲刈りの香り”が漂ってきます。坂を上がり、国道の高架下にある踏切へ。ここでは2分ほど待つと列車がやってきました。
 
 朝より晴れ間が増した空を見上げながら坂を下ると、水田に囲まれた県庁舎が見え、スタートからちょうど2時間後の午前11時20分にゴール。歩数計は1万6歩を指していて、狙ったわけでもないのに6歩分の悔しさ(?)をかみしめながら帰途につきました。
 
 夏から秋へと季節が移り、目に入るさまざまなものが色や形を変えていきます。普段車で通っている場所や以前よく通っていた道など、身の回りを歩いてみた時の新鮮さを今回も感じることができました。
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秋の訪れ探して歩く 久米川沿いの風景を開

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