身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。三寒四温、ようやく春本番となり、花粉症でない方には外で体を動かし始めるのに良い時期です。今回は、伊賀市の中央部に位置する友生地区の3つの集落を巡る約7・5キロのコースです。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 蓮池の集落を抜け、射撃場の方面へ進む】

【ツバキが散って赤く染まる木代神社の入り口】

 日中、まだ寒さの残る3月11日、同市蓮池にある木代神社を出発地点に選びました。これから巡る蓮池、喰ほうじろ代、高山の村社として地元の人たちにとってなじみの深い場所。鳥居脇に立つツバキの花が落ちて赤いじゅうたんのようになっていました。

紅白の梅も

 正午過ぎに出発し、まずは西へ。梅はちょうど見頃で、民家の軒先には紅白の梅の木がいくつも見られ、春の訪れを告げています。ところどころ青空も見えるもののまだまだ風は冷たく、汗をかくだろうと薄着で来てしまったことを少し悔やみました。
【道端に顔を出すフキノトウ】
 
 小さな川を渡って県道へ。「クレー射撃場」の看板を北に折れ、集落が途切れると山の中へ進んでいきます。道端にいくつも頭を出したフキノトウはもう開いているようでした。坂を上りきると、水面が抹茶色に見える池が現れます。獣除けのフェンスにはすっかり褐色に変わってしまったカラスウリの実が所在なげにぶら下がっていました。
 
鳥にカメラ向けるも…
 
 林の向こうからこだまする「バーン」という破裂音が少しずつ近くなり、前方が開けるとクレー射撃場の前へ。そこから東へ谷沿いに下っていきます。ふと、黒とオレンジの羽色をしたスズメほどの大きさの鳥が柵の支柱に止まっているのを見てカメラを向けましたが、そのうちに飛び立ってしまいました。
【喰代老人クラブの花壇には春の花がたくさん】
 
 大山田へ抜ける県道を渡ると、季節の花で色とりどりに飾られた喰代老人クラブの花壇が目に入ります。スイセンはまだつぼみですが、パンジーやハボタンが彩っています。ゆるい階段状の田の脇を南へ。喰代の集落に差し掛かると、防火水槽脇のスイセンはもう咲いています。さきほどの花壇とわずか数百メートルの差で春が来たのかと一人でつぶやいてしまいました。
 

高台から一望

 公民館から山手を望むと、道沿いに奥まで集落が続いているのが分かります。集落内を抜け、今度は広域農道を南へ。左手の丘の上には百地砦跡などの史跡や寺院があります。大型トラックも通る広域農道を慎重に進み、既に開花している大きな桜の木がある青ノ代バス停前から南東に折れると、高山の集落へと道は続いています。

【高山へ続く坂の途中で振り向くと、蓮池の集落や周囲の山々を一望】

 そこまでではないにせよ、蓮池方面から見れば「高い山」に位置する高山。振り返ると確かに、蓮池の集落や伊賀盆地を囲む山々などが一望できました。大きく古い民家が並ぶ坂道を抜け、再び広域農道へ。ここからはほとんど下るだけ、と甘く見ていたところ、高山川にかかる橋を渡った瞬間、ものすごい寒風が谷の下から吹き上げてきました。

 
 午後2時半、出発地点の木代神社へ。歩数計は1万2020歩を指していました。今回はほとんど登場しませんでしたが、歴史を訪ねるスポットがたくさんあり、適度にアップダウンもあるので、さまざまな楽しみ方や見所のあるコースです。
 
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