前回からテーマを新たに、伊賀地域とその周辺を走る路線バスやコミュニティバスに乗り、別路線の起終点や停留所を目指して歩きます。普段の車や電車とはまた異なる車窓を楽しみ、身近な地域を再発見してみませんか。2回目は、名張市の鵜山から南古山までの約8キロです。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 鵜山集落の西端付近の風景】

 名張市内には、地域づくり組織が母体となって運行するコミュニティバスが4種類、市が運営するものが2種類(2013年7月末現在)あり、今回は、近鉄桔梗が丘駅を発着する薦原地域の「コモコモ号」、美旗地域の「はたっこ号」を利用します。

【桔梗が丘駅で出発を待つ「コモコモ号」】

 8月9日、桔梗が丘駅東口から正午発の「コモコモ号」鵜山行きに乗り込みました。運賃は1乗車につき100円で、鵜山行きは火曜1往復と金曜2往復、もう一方の葛尾行きは水曜2往復、月・木1往復が運行されています。

 既存バス路線の停留所とは重複できないため、最初の停車はさつき台。始発からの乗客5人は全てさつき台の2か所で下車し、残るは記者だけに。旧国道368号から西へ入って西田原の集落の中を進み、公民館を過ぎて国道に出、安場交差点から坂を上り下りすると、午後0時25分に鵜山に到着しました。

 バスを降りると、体を包みこむようなセミの大合唱が。強烈な日差しを避けるように、木の下の日陰を探して進みます。獣避けの柵の上にちょこんと止まったシオカラトンボに「暑いけど頑張れよ」と励まされているように思えました。

【鵜山から八幡への峠。ここからつづら折の道が続く】

 歩き始めて20分ほどで峠の頂上に。セミが顔にぶつかってきましたが、日陰に入って涼を取れたことで、足取りも少し軽くなりました。坂の途中で正面に梅が丘の団地が見え、下り切ると、八幡工業団地を右手に見ながら東に向きを変えます。

【西田原の集落へ】

 堰(せき)の付近で釣りに興じる小学生2人を横目に、川を渡って西田原の集落へ。往路のバスでも通った辺りを過ぎ、公民館の前で小休止しました。ここまでで約7千歩。座ったまま視線を上げると、出始めた稲穂の間にヒマワリの黄色が見え隠れしていました。

 旧国道を渡り、東田原の山沿いの集落へ。民家の軒先は、ヒルガオやヒマワリがにぎやかに彩っていました。長楽寺の前を過ぎ、少し進めば藤が丘団地に入ります。昼から変わらず強い日差しに、少しでも日陰になっている場所を求めて歩き続けました。

【南古山の集落へ】
 
 団地を抜け、池の脇を北へ進むと、今度は左手にうぐいす台の団地。この次の集落は、目的地の南古山ですが、暑さと疲れもあり、すぐそこと思っていてもなかなか着きません。「まむし注意」の看板に冷や汗をかきながら、南古山の集落の西寄りにあるバス停に着いたのは午後2時45分でした。出発から2時間20分が経ち、歩数は約1万3600歩でした。
 
【桔梗が丘駅に到着した「はたっこ号」】
 
 バス停前に座り込んでいると、赤い車体の「はたっこ号」が到着。炎天下に外で座っている記者を見掛けた運転士の男性は、出発時刻より少し前に車内へ入れてくれました。涼しい車内で汗を乾かし、同3時15分にバスは出発。途中で2人乗車し、一人は美旗駅、もう一人も整形外科前で降車しました。

 桔梗が丘駅行きではあるものの、うぐいす台や伊賀市のきじが台(上神戸)などに立ち寄るため、所要時間は約40分。平日のみ3・5往復運行し、運賃は1乗車につき200円(小学生100円)です。午後4時前、昼に出発した桔梗が丘駅東口に戻ってきました。
 
 名張市の北端を東西に歩いた今回のルート。さすがに暑さは堪えましたが、序盤以外は目立った上り坂が少なく、日陰に入れるポイントもたくさんあります。道中には古くからの社寺もあり、時間が許せばゆっくりと見て回りたいところです。バスの運行ダイヤ、ルートは曜日などによって変わりますので、お出掛けの前に確認してください。
 

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