【職場体験学習で取材する市立北中学校3年の澁谷さん(右)に特殊詐欺の被害状況などについて説明する井上課長=名張署で】

 特殊詐欺やSNSを悪用した投資・ロマンス詐欺の被害が全国的に急増している。被害状況や対策について、三重県警名張警察署生活安全課の井上裕顕課長に話を聞いた。

 同署管内では、今年1月から8月末までに特殊詐欺が17件(前年同期比8件増)発生し、被害金額は約7660万円(同約7060万円増)となっている。また、SNS型投資・ロマンス詐欺は22件(同6件増)、被害金額は約1億900万円(同約1940万円増)に達し、件数・金額とも大幅に増加している。

 特殊詐欺について、井上課長は「対面せずに金銭をだまし取る手口が特徴」と話す。公的機関の職員などを装って電話をかけ、被害者を信じ込ませてATMの操作を指示し、送金させる手口が一般的だ。近年は番号の始めに「+(プラス)」が入った、国際電話番号を使うケースが増加している。

 SNSを使った詐欺では、魅力的な人物になりすまして信頼を得て「結婚資金が必要」「投資すれば利益が出る」などと言って金銭を振り込ませる手口が多い。SNSを使った詐欺の拡大に伴い、若い世代の被害も多くなっている。

 また、警察官になりすます手口も増えている。特に最近は、ビデオ通話アプリに誘導して警察手帳や逮捕状を見せ、信用させる手口もある。井上課長は「本物の警察がメッセージアプリで連絡したり、ビデオ通話で逮捕状を見せたりすることは絶対にない。その時点で詐欺だ」と強調する。

防犯アプリも

 被害を防ぐためには、国際電話の着信をストップするサービスが有効だ。固定電話の場合は無料で利用でき、最寄りの警察署や交番などで申込用紙を受け取ることができる。スマートフォンの場合は、防犯アプリ(一定期間無料のものも)を利用することで対策できる。

 井上課長は「被害に遭う人を一人でも減らしたい。もしお金を振り込んでしまったら、取り戻すのは非常に難しい。迷ったら、振り込む前に相談してほしい」と呼び掛けた。

※株式会社ユーで職場体験学習に取り組んだ名張市立北中3年の澁谷友進さんが取材しました

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