【スタッフの皆さん(提供写真)】
病院からの早期退院が求められる今日、看護やリハビリのプロによる在宅での療養支援や生活支援などの医療処理を行う「訪問看護」が注目されている。三重県名張市朝日町で2009年に事業をスタートした訪問看護リハビリステーション「ハッピーウッド」を訪ねた。

同ステーションは、市内を中心に医療・介護・福祉の各分野で幅広い事業を手掛けている医療法人「福翔会」(福森暁理事長)グループの一つ。現在、看護師10人、理学療法士10人を中心に、名張市、山添村、御杖村などで利用者約200人の自宅を訪問している。訪問件数は、累計で月1500から2千件に及ぶという。
管理者の糸見美和さんは「依頼があれば原則、断らないのをポリシーにしている」と話す。現在の利用者は、幼児から高齢者まで幅広い。「『人生の最期は家族と過ごしたい』という利用者のニーズに応え、終末期を迎えたがん患者や老衰のお年寄りの他、難病を抱える方の利用が多いのが特徴」と話す。
18年前の立ち上げに関わったのが、同法人副理事長で医学博士の服部宏志さん。それまでは天理よろづ相談所病院(奈良県天理市)のリハビリテーション科で勤務し、難病の一つ・パーキンソン病を神経内科部長と長年にわたり研究していたそうだ。
服部さんは、パーキンソン病の患者が車椅子やストレッチャーに乗れなくなり、通院できなくなった時にどのようにサポートできるのか、を模索していたという。「当時はまだ在宅ケアが確立されていなかった。外来だけに頼っていてはどうにもならない、との危機感があった。それで病院を辞め、地域医療に専念する決断をした」と振り返る。
その後、名張市で子どもと高齢者が交流できる夢の福祉サービスを展開するに当たり、「事業を手伝ってほしい」と福森理事長から声を掛けられたのがきっかけで、まず訪問看護を行うハッピーウッドを立ち上げることになる。「高齢化率の高い名張で、訪問看護をベースに信頼を積み、在宅ケアのモデルケースを作りたかった」と服部さん。
20人いるスタッフは30、40代が中心の若いメンバーだ。子育て世代で、子どもが急に熱を出して出勤できないなどの突然の事態をカバーするため、時短やフレックスタイムなど、個別に柔軟な勤務体系を採用しているそうだ。
糸見さんは「看護師として病院で働いていた時は、手術や医療処置に追われ、患者と対面で話す時間はほとんど取れなかったが、在宅では30分から1時間半ほど滞在するので、しっかり話ができる。そこが訪問看護の魅力の一つ」と話す。
サービス内容は、病状の観察と助言などの健康相談、服薬管理や口腔ケアなどの日常的な看護、認知症の予防ケアと家族相談、かかりつけ医の指示による処置・検査、緊急時の対応や在宅での看取りの相談など、多岐にわたる。土日も緊急対応している。
糸見さんは「若いスタッフが利用者に親身になって寄り添い、家族などから良い評判を頂くと励みになる。今後も地域医療の発展に貢献したい」と語った。
問い合わせは同ステーション(0595・42・8090)まで。