【自身の作品に囲まれる高山さん=伊賀市で】
展覧会出品も
三重県伊賀市阿保の高山桂子さん(89)は、和の美を鮮やかに表現する「ちぎり絵」に情熱を注いでいる。デイサービスで勧められたのをきっかけに、新たな楽しみを見出した。
華やかな花魁や勇ましい歌舞伎役者など、衣装の細やかな模様や表情までも緻密に描き出している。昨年の大河ドラマの主人公「紫式部」も題材に取り上げ、色とりどりの十二単を再現した。
ちぎり絵を始めたのは、7年前から通っている近くのデイサービスセンター「あおやま百々(どんど)」で昨年春ごろ、職員に勧められたのが契機だった。今ではすっかり魅了され、これまでに8点の作品を完成させている。
色付きの折り紙をちぎり、職員が用意した拡大コピーの台紙に、ピンセットを使って丁寧に貼り付けていく。完成後はラミネート加工を施して保存する。細部の制作で紙を扱いやすくするため、「爪は少し伸ばしている方がいい」と工夫も欠かさない。
週3日の通所のうち2、3時間を制作に充て、1作品に2、3か月かけて仕上げる。夢中になるあまり、「続きが気になって眠れないこともある」とほほ笑む。
昨年11月には、藤の花の精「藤娘」をモチーフにした作品を、地元の青山ホールで開かれた美術文化展覧会に出展した。現在は施設内の案内表示をちぎり絵で制作しており、次作への意欲も尽きない。
「ご飯もおいしく、レクリエーションやちぎり絵もあって充実している。百々の皆さんがいるから、今の私がある。今年も美展に作品を出したい」と、感謝の気持ちと意欲を語った。
- Advertisement -