【竣工当時の旧上野市庁舎(伊賀市提供)】

 三重県伊賀市は5月13日、にぎわい忍者回廊整備PFI事業で新図書館やホテル、カフェ、観光案内機能が入る複合施設に改修する旧上野市庁舎(同市上野丸之内)の外構計画について、国道163号沿いの敷地南側に当初設けてあった正面玄関につながる緩やかな大階段を保存・復元すると説明した。

 中心市街地推進課によると、大階段の保存、復元は事業契約を結んだ特定目的会社「伊賀市にぎわいパートナーズ」からの提案で、追加費用は発生しないという。大階段は幅約11・5メートル、長さ約21・5メートル。旧庁舎が竣工した1964年当時の写真や図面には、約6メートルの踊り場を挟んで蹴上が低く、踏面の奥行きが深い計20段が設けられていた。

 階段部分はその後、79年に社会奉仕団体の伊賀上野ライオンズクラブが創立15周年を記念した松尾芭蕉に関する文学碑を設置し、02年には傾斜部分を庁舎玄関の高さと水平にし、来庁者用駐車場19台分を増設した。文学碑は現在の場所から東側の敷地内に移設する。

大階段の復元作業の様子=伊賀市上野丸之内で

 稲森稔尚市長は「この整備によってできる新たな空間を広場として有効活用することで、地域のつながりを更に深めていく、そういう施設になることを期待している」と話した。

 1階にフロント、2階に19室を設けたホテル「泊船」の開業日は7月21日で、インターネットによる宿泊予約を5月13日から受け付けている。新図書館は26年4月にオープンする予定。

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