三重県伊賀市長田の鉄工所「株式会社山口鐵工」が、長年培った技術を生かし、企業向け工事から個人向けの車両カスタマイズ、アイアン家具の製作まで幅広く対応している。「ノーと言わない」を信条に、年間数百件の依頼に応えている。
同社は戦後間もない時期に創業。現在は3代目の山口和三社長(49)が率いる。愛知県の鉄工所で経験を積んだ後、約10年前に家業を継いだ。
現在の社員は6人。営業や見積もり、設計などを山口社長が担い、工場での製作や個人からの依頼は内堀大地工場長(46)が中心となるなど、役割を分担しながら業務を進めている。

企業からは、工場の階段や手すりの製作、鉄製機械の修理などの他、鉄骨倉庫の建設も依頼される。設計から製作、塗装、据え付けまで一貫して対応し、県内を中心とする現場で施工している。
本業で培った技術を生かし、5年ほど前からはオーダーメイドの車両部品の製作も手掛けている。仕事の合間に社有車にバンパーガードを取り付けてSNSに投稿したのがきっかけで、「予想以上に反響があり、県外からも相談が寄せられるようになった」と内堀工場長は振り返る。
個人からの依頼は、小さな金属製キーケースから大型車両向け部品の製作まで幅広い。持ち込まれる車両もバイクから軍用タイプの車両までさまざまだ。他社で対応を断られた相談が寄せられることもあり、県外から片道数時間かけて訪れる依頼者もいる。

車両部品だけでなく、テーブルや椅子、ランタンなどのアイアン製品も依頼に応じて製作している。最近では、石を土台にした1点物の鉄製プランタースタンドも考案した。地元伊賀のイベントで使われる体験用の忍者手裏剣を手掛けたこともある。内堀工場長は「『任せて良かった』『ありがとう』と言っていただけることが一番うれしい」と話す。
山口社長が家業を継承後、遺品整理総合サービス「e‐サポート」も事業に加えた。親族宅を片付けた経験がきっかけとなって始めたもので、妻の真衣さん(43)が中心となって対応している。
工場ではアメリカンピットブルテリアの「ブル」(雄・8才)とジャックラッセルテリアの「ボン」(雄・6才)が看板犬として依頼者を迎える。山口社長はバイクが趣味で、バイクが積載可能なカスタムバスを自作した。側面には看板犬のイラストが大きく描かれており、このバスに乗って社員たちと出掛けることもあるという。

山口社長は、ツーリング客が多く通る国道沿いの立地を生かし、将来的には車やバイク好きが気軽に集まれる交流の場づくりも構想する。「鉄工所は入りづらいというイメージを持たれがちだが、小さな修理や加工でも気軽に相談していただければ」と話した。
同社の取り組みはホームページ(https://www.y-ironworks.com/)で発信している。









