【小森さん】

小森 内蔵之助さん(26)

 今年7月にオープンした「鯖ずし小森」(三重県伊賀市四十九町)の店長。「鯖ずしをもっと身近に」を掲げ、昔ながらの製法で一品一品を丁寧に届けている。

 大阪府で5人兄弟の長男として生まれ、和食料理人の父・辰彦さん(49)に憧れて育ち、小学校を卒業するころには料理人の道を志した。

 中学卒業後、京都府の和食店に弟子入りした。基礎と心構えを3年間で叩き込まれた後、叔父が営む和食店で更に5年間修行。調理場で持ち場を任され、第一線で腕を磨いた。仕込みなどの段取りや店全体を見渡す力も身に着けた。

 修行中、父が新たに屋号を立ち上げ、「一緒に仕事をしたい」との思いが一層強くなった。23歳で伊賀に移り、夢の実現に向けて動き出した。

 父の思いを受け、機材の手配や工務店との調整など、開店の開業準備を小森さんが一手に担った。昨年秋には弟の慶次郎さん(20)も加わった。

 提供する鯖ずしは、長崎県産のマサバを低温でじっくり熟成させ、米は伊賀米コシヒカリを使用。保存料や添加物は使わず、時間とともにうまみを引き出す。

 地方発送はあえて行わず、対面販売にこだわる。来春からは百貨店での実演販売も決まり、新たな挑戦に意欲を高めている。

 趣味は野球観戦で、阪神タイガースの大山悠輔選手の大ファン。「努力を続ける姿にいつも励まされる。自分も負けていられない」と語る。

【私のお気に入り】成人の記念で祖父から贈られた本焼き包丁。名前が刻まれた特注品だ。今は亡き祖父を思い出し、「包丁に見合う板前になる」との決意を新たにする。
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