【イラストを手掛けた書籍を紹介する中田さん=名張市で】

 BS‐TBS「むかしばなしのおへや~伝えたい日本昔話~」、NHK・Eテレの「偉人の年収 How much?」など、テレビ番組のアニメイラストを「cocoanco」の作家名で描いている、三重県名張市在住のイラストレーター、中田あゆみさん。日本史好きが高じた和風のイラストは出版社からも評判だ。

 日本史でも特に近代史が好きで、絵を描くのも得意で好きだった。小学生の時から、歴史の創作漫画を趣味で描いていたほどだ。

 名張桔梗丘高校から関西大学文学部に進学し、「歴史をもっと学びたい」と大学院にも進んだ。卒業後は地元のケーブルテレビ局に就職し、歴史番組の制作を担当した。

 2匹目の犬を飼い始めた7年前、「一緒にいる時間を増やそう」と退職し、在宅の仕事を始めた。得意のイラストをインターネットの無料販売サイトに掲載するようになると、国内外から作画の依頼が舞い込むようになった。

 2021年、初めて表紙を描いた書籍「殿様は『明治』をどう生きたのか」(河合敦著・扶桑社)は再販になるほど売れた。以来、「なぞりがき東海道五十三次」「仏さまと仏像の教科書」「1冊でわかる明治時代」など、さまざまな出版社の出す書籍の表紙絵を手がけるようになった。今年7月には児童書「かなしい日本史」、9月2日には「侍は『幕末・明治』をどう生きたのか」が発行された。

 受ける依頼は歴史ものが9割で、それ以外は科学、恐竜の絵などさまざま。2年前からは広島県の宮島ARガイドアプリのキャラクターも受注している。

 中田さんの仕事は丁寧で、描く人物などは依頼主からも「裏取りがしっかりされている」と評価も高い。忙しくなった最近は、「ベタ塗り」を両親に手伝ってもらうなど、家族の協力で仕上げている。

 「今の自分は全く想像できなかった」と中田さん。「今後は、子どもでも分かりやすい歴史番組をユーチューブで発信できたらいいな」とほほ笑んだ。

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