【ニワトリが産んだまん丸の卵(左)と通常の卵】
ニワトリの卵は通常、片方がとがった楕円形をしている。ところが三重県名張市の民家で飼育されている1羽が7月下旬、球に近いまん丸の卵を1個だけ産んだ。

産んだのは、同市西原町の馬場清文さん(62)が2年ほど前から育てているボリスブラウンという品種の雌鶏。3羽のうち1羽が産んだその卵は、どの角度から見ても丸く、通常の卵のようなとがった先端や幅広の底部は確認できなかった。
ニワトリの卵の卵白には大きく分けて、粘度が高い「濃厚卵白」と、サラサラとした「水様性卵白」がある。卵の研究者で日本たまご研究会会長なども務める京都女子大学地域連携研究センター研究教授の八田一さん(68)によると、卵黄の周りに濃厚卵白が付いて卵殻膜が形成された後、水分が取り込まれて水様性卵白がつくられ、最後に卵の形に合わせて卵殻ができるという。
研究者も「見たことない」
今回のようなまん丸の卵ができた理由として、八田さんは「酷暑続きでニワトリの飲水が十分でなく、卵黄の周りがほとんど濃厚卵白だけとなり、その周りに卵殻形成が起こったのでは。輸卵管の膨大部の形状や環境が偶然、球形卵になるような条件に整い、産卵されたと考える」とし、「卵の研究をして46年になるが、まん丸の卵は実際に見たことがない」と語った。
まん丸の卵は世界でも珍しいようだ。英国の公共放送「BBC」は今年1月、ニワトリの球形卵が同国内で見つかったことを伝えるニュースの中で、発生確率を「10億分の1」と報じている。
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