【清水署長(左)から感謝状を受け取った孫の真一さん=伊賀市四十九町で】

 三重県警伊賀署は8月8日、1974年の同署庁舎完成後に信楽焼のタヌキとカエルを寄贈した杉本武行さん(故人)=伊賀市上野西町=に感謝状を贈った。清水浩之署長から感謝状を受け取った孫の真一さん(41)は「感謝の気持ちを頂き、光栄に思う」と話した。

 同署によると、滋賀県信楽町(現・甲賀市)出身で、伊賀市上野西町で「近江屋帽子洋傘店」を営んでいた杉本さんは、上野地区交通安全協会(当時)の常任理事も務め、2013年に85歳で亡くなった。真一さんは「(寄贈していたことは)実家にあった写真を見て知っていた。気さくで穏やかな人で、地域の安全を願って寄付したと思う」と思いをはせる。

玄関前に置かれている信楽焼のカエル=同

 正確な寄贈時期は不明だが、1980年ごろには既にあり、正面玄関の東西に対になって置かれている。高さ約160センチ(台座含む)のタヌキは、腹部に「交通安全」、右手に持つとっくりに「のんだらのるな」の文字が書かれ、背部には「贈近江屋」と記されている。寄贈当時は足元に小さいタヌキが2体あったが、今は1体だけに。縦横約60センチのカエルは、背中に2匹の子ガエルを乗せ、腹部に「無事かえる」の文字が書かれている。

 同署庁舎は老朽化による移転・新築を控えており、現庁舎の歴史を調べるうち、杉本さんから寄贈を受けたことがわかったという。清水署長は「立番する愛らしいタヌキを見るたびに癒やされている。故人の思いを絶やすことなく、タヌキの大きな目のように伊賀市をしっかりと見渡し、警察業務に生かしたい」と語った。

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