三重県伊賀市の伊賀鉄道は7月30日、2024年度の輸送人員が前年度比4万5000人(4・1%)増の116万3000人で、営業損益は1億2300万円の赤字だったと報告した。この日開かれた伊賀線活性化協議会の総会で説明した。
旅客の内訳は普通乗車券や回数券を利用した定期外が9000人(2・9%)減の30万8000人、通勤定期が2万人(10・7%)減の16万8000人とそれぞれ昨年度を下回った。通学定期は市が実施する半額助成の利用者が増え、前年度より7万5000人(12・2%)多い68万8000人に増加した。
収支状況は、収入に当たる営業収益が前年比3800万円(13・4%)増の3億2000万円だったのに対し、支出にあたる営業費用は前年度比500万円増の4億4300万円だった。同鉄道の関係者は「収入もプラスとなっているが、物価高騰や電力料金の高まり、人件費の上昇もあって大きな改善とはなっていない」と話した。
来賓として総会に出席した同鉄道の髙浦仁史社長は「公有民営方式での運営が9年目となり、再構築実施計画も次の10年に向け進めていく段階となった。線路や車両も少しずつ老朽化が進んでいくことから、今後着実な設備投資や保守が必要になっていく。この課題について引き続き、市とともに検討を重ねていきたい」とあいさつした。
伊賀線は市内に15駅あり、路線距離が16・6キロ。同協議会は沿線にある住民自治協議会や市県など31団体で構成している。伊賀鉄道は07年10月に近鉄と同市が出資する第三セクターとして運行を開始し、17年4月からは同市が鉄道施設などを保有・維持管理する公有民営方式に移行した。
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