【完成した岸勝明諸文集を手にする首藤さん=伊賀市役所で】

 三重県の伊賀古文献刊行会(会長・澤田剛伊賀市教育長)は、江戸中期の藤堂藩士、岸勝明(1741‐1815)が執筆、編集した作品14点の諸文集を発刊した。武芸と文学を好んだ武士の生きざまを通して、当時の伊賀上野の文化的状況や一般社会の様相がうかがえる1冊だという。

 同団体は1973年に発足した上野市古文献刊行会が市町村合併を機に現在名に改称した。伊賀地域の過去の政治や経済、住民生活、文化を知る貴重な古文献を誰でも読める活字体に直して復刻出版し、将来への継続的史料として保存し、市民の文化的、教育的活用に役立てることを目的としている。

 解読や解説を担当した高田短大名誉教授の首藤善樹さん(76)は「江戸中期から後期の伊賀を代表する文化人の著作が活字の形で読めるようになった。交友関係の広さや深さが分かり、収録作品の一つで『伊賀土産記』は茶、豆、こんにゃくなど地元の食品や薬、鉱物など41点を紹介しており面白い」と話した。

 A5判252ページ。税込み3500円。上野図書館と岡森書店白鳳店、井筒屋書店で販売している。

 問い合わせは同図書館(0595・21・6868)へ。

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