【忍者ショーの会場で刀を構える小林さん=伊賀市上野丸之内で】
伊賀流忍者博物館(三重県伊賀市上野丸之内)で忍者ショーを披露している「伊賀忍者特殊軍団・阿修羅」に今年3月に正式入団し、「スーパーくノ一YUME」の名でデビューした、東京都国立市在住の大学生、小林由愛さん(19)。ゴールデンウィークには、軽やかなアクロバットと切れの良い殺陣を披露し、観客を魅了した。
明治大学情報コミュニケーション学部の2年生。園児のころから運動神経に恵まれ、小学生から器械体操を習い、中学2年からアクションスクールに通った。高校3年の時、短期留学したオーストラリアの訪問先で忍者に扮してアクロバットを披露したところ、「ものすごくウケて」、日本や日本文化に興味をもってもらえたそう。
「こんなに興味を持ってもらえるなら、もっと日本文化を勉強して海外に広めたい」との思いが募り、「海外で忍者ショーをやりたい」と夢見るようになった。
転機は昨年。高校生のころからSNSに毎日投稿していた後方宙返りの動画を見た阿修羅メンバーの知之助さんから届いたダイレクトメールだった。夏休みを利用して伊賀を訪れ、ショーを見学した。更に話を聞き、夢がかなえられる「ここでやってみたい」と入団を決意した。

緊張の初舞台 必死だった「壁登り」
大学が再び長期休みになった今年2、3月に伊賀を再訪し、修業を始めた。走り込みや階段上りで体力と筋力を強化し、技の練習も開始した。初参加した2月のショーで披露した「壁登り」は、緊張と必死さで気持ちのゆとりがなかったそうだが、楽しかったと語る。
4月に大学に戻って自主練習に励み、1か月ぶりに挑んだ連休のショーでは、出番や役割も増え、過度な緊張感なく楽しめたといいい、大勢の観客から喝采を浴びた。
「アクロバットは10年してきたので得意」と小林さん。「降り杖」という技が難しかったらしい。「海外の人には忍者はアニメのイメージが強い。架空じゃない本物の忍者を知ってもらいたいし、頑張りたい」と話す。
阿修羅頭領の浮田半蔵さん(65)は「単なるエンタメだけではなく、忍者は人格も大事。知識も十分学んでもらえたし、思い出に残るショーを披露していってほしい。とても期待している」とエールを送る。
夏休みには復帰する予定だが、それまでにも連休があれば東京から駆け付けて参加するかもしれないという小林さん。インスタグラム(@yume_ast_action)で情報発信している。