【名張市内のプライベートジムで練習する杉本さん】

 6月にヨーロッパで開かれるスポーツクライミングのワールドカップ(W杯)3大会に、近畿大学工業高等専門学校(三重県名張市春日丘)4年の杉本侑翼さん(18)=同市西田原=がボルダー種目の日本代表の一員として派遣される。「どこまで行けるか分からないが、W杯に出続け、その先にあるオリンピック(2028年・ロサンゼルス大会)を目指したい」と、更なる高みを視界に入れる。

杉本さん

 スポーツクライミングは、高さ15メートルの壁を2人が同時に登って速さを競う「スピード」、高さ5㍍以下の壁に設定された複数の課題を制限時間内にいくつ登れたかを競う「ボルダー」、制限時間内に高さ12メートル以上の壁のどの地点まで登れるかを競う「リード」の3種目がある。五輪では21年の東京大会で3種目の複合競技(コンバインド)として初採用され、28年のロサンゼルス大会はそれぞれ単種目での開催となる。

ユース世代卒業

 小学3年から競技を始め、スピード、ボルダー、リードの3種目に取り組んできた杉本さんは、中学時代にユース日本選手権(世代別)をスピードで、昨夏のユース世界選手権をリードで制すなど、国内外でタイトルを獲得してきた。ユース世代を卒業した今春からは国内外のトップ選手と競い合っている。

 現在の身長は167センチ、体重は60キロ。「ボルダー向けの体型になってきた」といい、「壁の前に行っても緊張しないようコントロールできるようになってきた」と、技術はもちろんメンタル面の成長も大きい。3月には伊賀市で開かれたリード競技の国内最高峰「リードジャパンカップ」で準決勝に進出し、地元でクライミングの楽しさや魅力も伝えた。

 今年のW杯ボルダー種目への派遣優先順位は、楢﨑智亜選手(無所属)、同学年の安楽宙斗選手(JSOL所属)ら国際大会の常連らに次いで7番目。1大会への派遣は6人までで、杉本さんは6月6日からのチェコ・プラハ大会、同13日からのスイス・ベルン大会、同25日からのオーストリア・インスブルック大会に出場予定だ。

動きのスケール

 同高専山岳部の後輩たちと高め合い、シニア世代で世界の強豪たちと競い合う中で、杉本さんが課題と感じているのは「スケールの大きな動きをすること」。ルートを見極め、次のホールドを狙う繊細な動きはもちろん、ダイナミックさやパワフルな攻めが必要になるといい、「しっかり力を込めて登るボルダーとリードを今後も両立し、W杯基準のスケールを模索していきたい」と前を向いた。

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