【名張市立病院=同市百合が丘西1】

 名張市立病院(三重県名張市百合が丘西1)の地方独立行政法人化(独法化)に向けた有識者らによる評価委員会(伊藤正明委員長=三重大学長)が5月1日、市防災センター(鴻之台1)で開かれた。病院側は、組織再編や経営改善に向けた具体的な取り組み、数値目標などを盛り込んだ中期計画の素案を示した。

 素案は、昨年度に市が策定した中期目標を踏まえて病院側が作成した。計画期間は、独法化する予定の今年10月1日から2028年度末までの3年6か月間。

 収支改善に関する項目では、28年度の経常収支比率を95%(24年度比8・8ポイント増)とすることなどを目標に設定。23年度策定の経営強化プランでは27年度に経常収支比率を100・1%として黒字化する目標を掲げていたが、病院事務局は「地に足をつけた現実的な計画にした」としている。

 素案では他に、28年度の数値目標として入院収益34億4600万円(同4億7000万円増)、外来収益11億7800万円(同1億3200万円増)、1日平均外来患者数311人(同35人増)、救急車受け入れ件数2750件(同79件増)、手術件数1320件(同235件増)などを挙げている。

 収支改善に向けた取り組みでは、心疾患やがん診療の充実、一般病床よりも看護体制が手厚いハイケアユニット(HCU)病床の導入などを挙げ、28年度単年度の目標効果額を2億円とすることを目指す。この他、二次救急と小児救急の体制堅持、「教育研修センター」設置などの医療水準向上に向けた取り組み、看護師の確保対策なども明記した。

 同病院は現在、看護師不足で病床を一部制限しており、今年3月の病床稼働率は60%を下回ったという。委員からは「看護師不足が最大の問題。もっと詳しく計画で示しては」などの声が上がった。

 素案は、市立病院のホームページで公開されている。

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