【師匠の澤田七段から贈られた「虚心」の色紙を手にする森本さん】

養成機関「奨励会」で修練重ねる

 「手や指し方が面白いと感じてもらえるような棋士になりたい」。三重県伊賀市ゆめが丘の緑ヶ丘中3年、森本悠太さん(14)は、将棋のプロ棋士養成機関「奨励会」に入会した昨夏から、関西将棋会館(大阪市)で月2回開かれる例会に通い、同じ目標を持つライバルたちと修練しながら対局を重ねている。

対局する森本さん=伊賀市ゆめが丘で

 父英朗さん(41)によると、幼少時に漢字が好きになった森本さんは「将棋をやってみたら、すぐに駒の動かし方がわかった」といい、小学校低学年のころは市内にあった将棋教室に通った。小3からは、老若男女が通う「鈴鹿神戸将棋道場」(鈴鹿市)で腕を磨き、澤田真吾七段に師事している。
下部の研修会で実績

 奨励会へ入るには原則、年1回しかない入会試験をパスする必要があるが、森本さんは奨励会の下部組織「研修会」で実績を残し、上位クラスに入ったことで入会が認められた。入会時は全員6級からスタートするため、例会では同じ段位か上位の相手との対戦が続く。全国中学生選抜大会の県予選で1年時に2位、2年時に3位だった森本さんも、例会では苦戦が続いている。

 奨励会の対局では「アマチュアの大会とは実力の違う人たちばかりで、精神的にしんどい日もある」というが、用意した作戦が通じるかを毎回試していく。「こだわらず素直であれ」と師匠から贈られた「虚心」の二文字を胸に「展開が良くなくても、頑張れば展開が向くこともある。諦めずに指そう」と自分を奮い立たせる。

 愛用の将棋盤は、建築業を営む英朗さんが樹齢200年ほどのカヤの木を加工して作り、駒は奨励会の入会祝いに両親が贈ったものだ。英朗さんと母さやかさん(45)は「奨励会に入り、私たちの想像以上にすごいことをしているなと感じる。勝ったらうれしい、負ければ悔しい、という経験を重ね、現状を打開する力を付けてたくましくなってくれた」と目を細める。

 小学生のころは野球やフットサルも経験し、中学ではソフトテニス部の主将も務めている。現在は高校受験も控え、部活動と学業、将棋の三本柱のバランスに悩みつつ、「まずは一つでも昇級し、(プロになれる条件の)四段を目指したい」と目標を語った。

英朗さん作の将棋盤
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