【名張市竜口の集落】

 「辰」には、十二支で唯一、想像上の生き物「竜(龍)」があてられている。竜の字がつく地名は、隣り合った三重県名張市西南端と奈良県宇陀市北東端にあり、宇陀川へと注ぐ阿清水川の上流に宇陀市の室生龍口(44世帯)、下流に名張市の竜口(14世帯)が位置している。

宇陀市室生龍口の集落

 「黒田庄誌」(1968年)によれば、雨の神として古くから信仰されてきた竜穴神社(宇陀市室生)が南約4キロに位置し、名張方面から目指す場合は竜口を通ることになるため、「竜神への入り口」から「竜口」と呼ばれるようになったという説がある。

龍穴神社

 両集落は元々、伊賀国領の1つの村で、12世紀中ごろに分離し、南側が大和国に移されたという。一帯は「伊賀三大上忍」の一人、百地三太夫(百地丹波)ゆかりの地で、竜口には生家と伝わる場所があり、両集落を隔てる山の上には城跡が残っている。同名の白山神社もそれぞれに鎮座している。

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