【縄をくくりつけた石で地面を打ち付ける地区住民たち=名張市黒田で】

 三重県名張市黒田の黒田集会所で11月23日、五穀豊穣や家内繁栄を祈る伝統行事「亥(い)の子」があった。

 主に西日本で亥の月(旧暦10月)に実施される行事。黒田地区では、少子化の影響で約20年前から伝統が途絶えていたが、地元の学校から「地域の行事に関わりたい」と声があったことをきっかけに、行事を経験している地区住民が復活させた。

 この日、年少児1人と小学生7人、中学生1人を含む地区住民ら約30人が同集会所に集まった。子どもらは「亥の子餅ついて 祝わんものは…」と「亥の子唄」を歌った後、約5キロのひょうたん型の石にくくりつけた縄を引っ張り、石を上下させ地面に打ち付けながら、声を合わせて回数を数えた。石は灯籠(とうろう)の笠の上にある宝珠の部分で、当時から使っていたものを土に埋めて保存していた。

 石を打ち付けた子どもたちは「軽いと思ったけど意外と重かった」「楽しかった。また、やってみたい」と笑った。同区長の北森正敏さん(73)は「子どもたちが地区の良いところをつないでいってほしい。来年も続けていけたら」と話していた。

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