【ハードル走の練習に励む弓指さん=名張市夏見で】

 短距離走、投てき、跳躍など10種目の得点で競う陸上の「十種競技」に初挑戦した三重県伊賀市桐ケ丘5の弓指雄作さん(74)が、今秋のマスターズ陸上大会で全国2位の成績を収めた。その6日後には、全日本マスターズの300メートルハードルでも見事優勝。仕事の合間など寸暇を惜しんで練習に汗を流す“鉄人”は「十種競技の記録を更新し、80歳になっても跳んで走っていられたら」と、更にトレーニングに励んでいる。

今年の全日本マスターズの300メートルハードル(70歳以上)で優勝した弓指さん(提供写真)

 退職後の健康維持のためにと、ソフトボールに加え、地元の「名張クラブ」で陸上競技に取り組み始めた。マスターズ大会では得意のハードル種目で入賞を重ね、65歳で挑んだ2014年のアジアマスターズでは2種目で金メダルに輝くなど、記録も実績も残してきた。

各地で練習重ねる

 そんな中、三重マスターズでともに汗を流す五種競技の選手から刺激を受け、「やるなら十種を」と決心。ポイントを教わりながら、やり投や円盤投の練習をともにするようになり、現在は名張クラブでの練習の他、自宅周辺やメイハンフィールド(名張市夏見)、伊勢市の競技場で練習に励んでいる。

 9月30、10月1日に石川県で開かれた「石川マスターズ混成陸上競技選手権大会」には、十種競技に39人、弓指さんらのM70(70歳から74歳)クラスには12人が出場。弓指さんは走幅跳で1位(3メートル86)、80メートルハードル(15秒75)と1500メートル(7分13秒)で2位になるなど、10種目中6種目が3位以内という活躍をみせた。

 2日間、10種目をともに戦う選手たちはライバルであり、仲間でもある。競技の合間にトレーニングや練習の方法について話したり、互いに励まし合ったりし、「74歳の自分の挑戦だったが、十種競技ならではの充実感や温かさが心地良かった」と振り返る。大会後には、地元の俳句仲間たちも祝賀会を開いてくれたそうだ。

 同クラブの指導者、徳地和子さんは「器用なことに加えて探求心が旺盛で、まれに見る吸収力が強み。年齢の離れた子どもたちも含め、皆の見本になってくれている」と信頼を寄せる。弓指さんは「環境や仲間、指導してくれる皆さん、何より競技に専念させてくれる妻に感謝している。2日間戦い続ける体力をどうやって向上させるか、各競技のスキルアップをどう図るか、課題もたくさんあるが、まだまだ自己ベストの更新を目指していきたい」と語った。

2023年11月11日付855号8面から

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