草モグモグ→高齢化の課題解決
体モフモフ→癒やし求め住民集う
三重県名張市つつじが丘北3番町の住宅街にある「つつじが丘8号公園」で、敷地のり面の除草に3匹のヒツジが一役買っている。高齢化で従来の除草作業が継続困難になるなか、昨年5月に導入。問題を解決に導いた上、住民らを癒やすアイドルとして欠かせない存在になっている。
同公園の除草は、つつじが丘北3番町自治会が市の委託を受け、昨春までは自治会内のソフトボールクラブのメンバーが草刈り機を使って実施してきた。ところが、北側にある約1300平方メートルの斜面の除草が特に高齢化するメンバーには重労働で、「体力的にもう限界」と悲鳴が上がった。
2021年春に自治会長に就任した池田博信さん(60)は、解決策を探った。ある日、妻が「ヒツジに食べさせたら」と一言。市内の飲食店の敷地で、ヒツジが草を食べていた光景を思い出した。
池田さんは動物を活用した除草方法を調べ、ヤギとヒツジを比較。公園の環境から、比較的おとなしいヒツジが適当と判断し、関係機関への確認後、住民たちに導入を提案した。
導入コストは従来の除草費用分でおおかた賄うことができ、更にヒツジの存在が地域の活性化にもつながると住民たちを説得し、同意を得た。「飼育の手間で自治会役員の負担が増えるのでは」といった声への対応で、動物好きの住民ら有志で「ひつじクラブ」を結成し、自治会の枠にとらわれない飼育体制を構築した。
ヒツジたちは22年5月、山添村から5か月間のレンタル契約でやってきた。ヒツジを放牧する区画はフェンスを追加整備し、のり面へ出入りできる場所に有志で手作りの小屋を建てて迎えた。住民たちの間にはたちまち、「可愛い」「癒やされる」などの声が広がっていった。
ヒツジは、1匹で1日に20から30平方メートルの草を食べるという。問題となっていた斜面の草も「うメェ~」とばかりに3週間ほどで食べ尽くし、その後も常に奇麗な状態を維持。想定以上の食欲で、追加のえさが必要になっている。
導入2年目の今年5月から来ている3匹の名前は、「ニコ」(5才・雌)、「マロン」(1才・雌)、「みるく」(6か月・雄、ニコの子)。効果を更に引き出そうと、自治会は10月に初めてヒツジが主役のフェスを開催することにした。来年度は公園内の放牧エリアを今よりも広げるべく、構想を練っている。池田さんは「ヒツジさんたちはとても地域に貢献している。人が集まり、新たなまちの文化が始まるきっかけになれば」と期待する。
「ひつじさんと!フェス」10月15日
「ひつじさんと!フェス」が10月15日午前10時から午後3時まで、つつじが丘8号公園で開かれる。入場無料。雨天決行。
5月から同公園で過ごしてきた3匹のヒツジが山添村に戻る直前のイベント。フェスでは、柵の中に入ってヒツジと触れ合える催しを始め、羊毛フェルトやヒツジの塗り絵のワークショップ、自治会と地元パン店が共同企画した「ひつじのクリームパン」、ヒツジのクッキー、羊毛マスコットの販売などがある。ヒップホップダンスやウクレレなどのステージや、フリーマーケット、即興似顔絵なども楽しめる。
イベント当日、来場者はつつじが丘市民センターやつつじが丘幼稚園の駐車場が利用できる。
問い合わせは自治会長の池田さん(090・1029・4954)まで。