【自作の革製品を紹介する田中さん=名張市桜ケ丘】

 三重県名張市桜ケ丘の革作家、田中政也さん(44)が作る製品は、化学薬品を使わずなめされた革を用い、エイジング(経年変化)を楽しむだけでなく、肌が敏感な人にも安心して使用できるのが特徴だ。昨年末、妻・かりんさんとともに、以前から興味を持っていた有機農業を学べる環境を求めて横浜市から移住した。

 若いころから彫金や革製品が好きで、20代のころに沖縄の革製品工房で働いた後、神奈川・鎌倉の工房で技術を磨いてきた。主に財布やバッグなどの革製品を作っていて、5年前からインターネット通販や口コミを通じてファンを増やしている。

 田中さんには以前からアトピー性皮膚炎の症状があり、「自分たちでオーガニックな食べ物を作って食べたい」という希望を抱いていた。現在は市内の「赤目自然農塾」で自然農法を学びながら、1000平方メートルほどの畑でトウモロコシや枝豆、ショウガなどを育てている。

 オーガニックな指向性は自身の革製品にも現れていて、「自分たちの作る無農薬野菜と同じ感覚で、顔料や化学薬品を使わないヨーロッパや日本製の天然皮革は環境に優しい」と思いを語る田中さん。今後は「条件が合えば畑のある古民家を見つけたい」そうだ。

 田中さんはインスタグラム(@revol0410)で農業活動や作品を紹介している。

2023年8月26日付850号2面から

- Advertisement -