【作品を手にする田中さん=名張市で】

 「一つひとつ、使う人のことを思い浮かべている」。三重県名張市つつじが丘北7の田中紘輝さん(80)は、スパイスラックや木製スピーカーなど、手作りの良さが生きたオリジナルの木工雑貨を生み出している。集中すると丸1日作業に没頭するほど「木が好き」だ。

 定年後のパート勤務を辞めたのを機に、5年ほど前から趣味で木工を始め、自宅で使う棚や踏み台、テラスを作っていた。そのうちに、椅子やミニテーブルなどのインテリアの品や、妻からのリクエストで鍋敷きなどのキッチン用品も作るようになった。

 2年前からは市内の同好会「木工クラブ森の匠」に参加し、仲間とともに市内に工房を借りて日々制作に励んでおり、時には弁当を持参して朝から夕方まで作り続けることも。ホームセンターで購入したヒノキや杉などを材料に、作る前にはミリ単位まで正確に製図し、糸のこぎりなどの機械を駆使して作業をしている。

 今春からは「中島木工」の名で、伊賀市ゆめが丘で毎月開かれるイベント「手づくり市&フリーマーケットいがコミ!」に参加している。次回は9月3日で、立ったり座ったりしやすい補助手すり付き椅子など20点ほどを展示販売する予定。

 田中さんは「プラスチックのカラフルなおもちゃや雑貨も多いが、環境にも優しい木の製品を選んでいってもらえたら」と話した。

2023年8月26日付850号11面から

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