【真上から見ると猫型にも見える円形分水工(小型無人機で撮影)】

新企画【ムササビ忍者の目】

 普段見慣れた場所でも、上から見ると全く違った景色に見えることがある。YOUでは、小型無人機「ドローン」を駆使して、地域のさまざまな場所を別の角度から紹介していく新コーナーを始める。

 鮮やかな青色の縁取りが、猫の顔の形のように見える。これは名張市新田と下小波田の境にある農業用の利水施設「円形分水工」。青蓮寺ダムから取水した農業用水(青蓮寺用水)の幹線水路から分岐した水を公平に配分するため、1977年に県営圃場整備事業で造られた。

 施設の直径は約5メートルで、中心部の水槽ではサイフォンの原理で5メートル下から水が沸き上がり、外縁の16個の窓から流れ落ちる。落ちた水は仕切りによって11対5の割合で、約360年前に開発された新田水路の補水として合流する分と、市土地改良区の管理水路に流れる分とに配分され、周辺に広がる農地を潤す。

 水が供給されるのは毎年、春から初秋まで。管理する市土地改良区北部工区の髙濱勝明工区長(73)は「青蓮寺用水からの分岐水は一部途中の水田や果樹園に給水しながら、高低差がある小波田川を渡って円形分水まで来ている。年間供給水量もきっちりと決められており、北部地区の重要施設として大切に管理している」、重地弘三理事(62)は「新田用水は伊賀市高尾から約14キロにわたって水を引いており、土砂崩れなどで水が来なくなることが過去にあった。円形分水で補われる水は、必要不可欠なもの」と話した。

円形分水工の前に立つ髙濱工区長(左)と重地理事=名張市で

2023年8月26日付850号4面から

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