【新たに配備されたはしご付き消防自動車=伊賀市緑ケ丘東町で】

 三重県の伊賀市消防本部は、今年8月1日から運用を開始する新たなはしご付き消防自動車の配備式を7月26日に開いた。最大地上高は約21メートルで、形状は高所作業車に類似している。アームが∑(シグマ)型に屈折し、水平方向にも伸縮するため、家屋や障害物などを越えての救助・消火活動が可能になるなど、機動力向上に期待が高まっている。

 市消防本部によると、配備後12年が経過した現行の30メートル級はしご付き消防車と比べ、車両全長と、車両を固定するアウトリガーの張出幅がともに約2メートル短くなり、これまでより市街地や道路の狭い地域でも活動できることが期待されるという。購入価格は1億2980万円で、ポンプ車などからの送水を受けて毎分最大1100リットルの放水ができる。

アームを水平方向に伸ばした状態=同

 伊賀市と名張市は、災害時の相互応援出動などで連携しており、名張市では2017年に配備された35メートル級の車両を使用中。今後は現場周辺の道路状況や地理的条件などに応じ、両市のはしご車を適宜運用していくという。

 この日の配備式で、先端のバスケットに搭乗した岡本栄市長は「実際に乗せてもらい、つぶさに体感できた。安定した動きで、機能的にも優れている。名張と伊賀の連携の中でしっかり運用してほしい」と訓示し、林浩己消防長は「市街地など、道路が狭い地域や木造住宅の密集地も多い。訓練を重ね、市民の安心安全のために災害対応に当たっていきたい」と謝辞を述べた。

新しいはしご車を使った想定訓練の様子=同

 配備式の後には、新しいはしご車を使った想定訓練と放水も行われた。想定訓練では、3階建ての訓練塔の屋上に逃げ遅れた人がいる状況で、車4台分離れた場所からアームを伸ばし、バスケットに乗った隊員2人が救助に向かった。

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