【非破壊測定器でスイカに光を当てる田上さん=名張市鴻之台4で】

 ハウスの天井付近からぶら下げて実らせる「空中栽培」の小玉スイカを手掛ける三重県名張市の農業生産法人「風農園」が、つるに実ったまま糖度を計測する非破壊測定器を今季から本格導入する。1個1個の糖度を明示したタグを添えて販売し、贈答品としての価値を更に高める。

 同農園が空中栽培を本格的に始めたのは2020年。地上1メートル以上にスイカを実らせ、プランターを使って水分や養分を調節し、甘さや品質を安定させる。より付加価値を高めようと、代表の田上堅一さん(49)が目を付けたのが非破壊測定器を活用した糖度保証だ。

 これまでは収穫したスイカの一部を試し割りし、果汁を糖度計で測って出荷時の参考にしてきた。ところがこの方法では、割っていない個体そのものの糖度は把握できない。

 導入する非破壊測定器は手で持ち運べる大きさで、果実に光を当てて糖による光の吸収を測定する仕組み。実を傷つけることなく0・5秒で数値化でき、つり下げたままのスイカを測定し、収穫適期を見極めることもできる。メーカーの担当者によると、小玉スイカを非破壊測定し、個々の糖度を明示して販売する手法は全国的に珍しいという。

 田上さんは2年ほど前に機器の導入を決めたが、市販品は高い糖度には対応していなかった。そこで、2年間で同農園のスイカ数百個を割って糖度の測定データを収集し、メーカーが同農園用に設定した機器を用意した。

 田上さんは「付加価値を高める挑戦を続けてきたが、糖度保証はその『トドメ』。贈る人と贈られる人の双方に満足して頂ける、他にない名張発のギフトになる」と話した。

 小さな種ごと食べられる品種「ピノ・ガール」を今年は2400株植え、7月初旬から計1500玉ほどの収穫を見込む。一般的なスイカの糖度が10度程度と言われるなか、同農園の出荷基準は12・5度以上。価格は税込み3000円からで、糖度に応じて決まる。

 6月24日と25日は午前10時から午後3時まで、同市鴻之台4のハウスで「空中スイカ見学会&予約販売会」を開く。

 問い合わせは同農園(080・5158・3576)まで。

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