【畑で収穫する北村さん(右)と小林部会長】

生産面積拡大 農閑期有効に

 三重県の伊賀盆地の冬の底冷えでたっぷりと甘みを蓄え、とろっとした食感の「伊賀の芭蕉ねぎ」。耕作放棄地の増加を防ぐ目的で、2019年から伊賀市のJAいがふるさと(平野西町)と、農業用園芸資材を生産・販売する株式会社秋本天産物(槙山)を中心に、本格的な作付けが行われてきた。

 選果はNPO法人えん(長田)が担当し、翌年3社で商標登録を取得した。当初は生産者2人、栽培面積8000平方メートルから始まったが、今では約30人、約5万平方メートルにまで拡大している。

 生産者の一人、同市山畑にある株式会社芭蕉農産では現在、米12万平方メートルに加え、4年前から始めた芭蕉ねぎを1万2000平方メートル栽培。年々、栽培のウエートが拡大しているという。代表取締役の北村浩さん(58)は「ネギは米より作付面積当たりの収穫高が良く、機械化のコストもほとんどかからない。栽培面積はいずれ米との逆転もありうる」と意欲的だ。

 JA芭蕉ねぎ部会の小林行雄部会長(78)は「芭蕉ねぎには、白い部分の長さ30㌢以上、太さ1・5㌢以上などの規格があり、これを守るため、苗の定植方法や病虫害対策、排水管理などを伊賀地域農業普及センターの力も借りて巡回指導している。ネギの収穫は稲刈の終わった10月中旬から始まるので、農閑期を有効に使え、農家としてのメリットも大きい」と話す。

 芭蕉ねぎは、量販店、直売所「とれたて市ひぞっこ」などで例年11月から2月中旬まで販売している。

 問い合わせはJAいがふるさと農産販売課(0595・24・5111)へ。

2023年2月25日付838号20面から

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