【名張藤堂家邸跡で行われた演奏会で津軽三味線を弾く山口さん=名張市丸之内で】

 「津軽三味線が登場するアニメ『ましろのおと』を見て興味を持った」と笑顔で話すのは、日本民謡和泉会の会員で最年少の三重県伊賀市立青山小5年、山口天寧さん(10)。習い始めてまだ10か月余りだが、名張市さつき台2の同会会主、谷本善聖さん宅に毎月2回通い、自宅でも熱心に稽古に励んでいる。

アニメ「ましろのおと」の一場面をタブレットに映す山口さん

 以前から和楽器に興味があったという山口さんは、地元の青山太鼓保存会が主催する和太鼓教室に2年間ほど通った経験がある。昨年末、親類の家で三味線に触れたのを機に翌日には母の信恵さんに「先生を探してほしい」と催促したそうだ。

 三味線の中でも太さおで力強い響きが特徴の津軽三味線を初めて弾いた時、「意外と大きな音が出てびっくりした」という。稽古を重ねるうち、「テンポの速い曲弾などをミスなく弾くのは難しい。薬指も痛くなるけど、うまく弾けた時は本当にうれしい」とニッコリ。

 普段は自宅で、夕食後の30分から1時間ほど練習しており、今年9月からは名張市内であった「鈴虫コンサート」や同市民文化祭、「津軽三味線演奏会」などに相次いで出演。11月13日にある公演「和と伝」に出演する他、12月にも日本民謡協会主催の「民謡民舞東近畿連合大会」に賛助出演する予定だ。

リハーサルをする日本民謡和泉会員の皆さん。山口さんは後列中央=名張市美旗町南西原で

 師匠の谷本さんは「稽古熱心で成長が著しい」と評価。「三味線は特殊な楽器ではなく、ギターやピアノのように弾き始めたら愛着も出るし、特別難しい楽器でもない。山口さんのように、誰でも気軽に始めてほしい」と話す。

 山口さんは「将来の夢は三味線の師範になること」ときっぱり。信恵さんは「本人がやりたいように母親としてサポートしていきたい」と話している。

「和と伝」 13日に名張で

 日本伝統の民謡や三味線など和楽器の指導やイベントを開催している日本民謡和泉会主催の第36回公演「和と伝」が、11月13日午前9時40分から、名張市松崎町のadsホールで開かれる。入場無料。

 今回は同会会主の谷本善聖さんが今春、日本民謡の普及と地域の文化振興に寄与したとして「三重県文化功労賞」を、会員2人が「日本民謡協会貢献賞」をそれぞれ受賞したことを記念して催される。

 公演前半は、10歳から93歳まで約60人が所属している同会会員による唄と賛助出演者による踊りが披露される。後半は、和泉会を含め「邦楽西尾会社中」(三重)、「秋篠いなば会社中」(奈良)の3団体が「津軽じょんから節曲弾六段」を合奏する他、「産経民謡大賞」の優勝者による民謡、伊賀琉真太鼓の演奏などがある。また、会場前では先着200人にたこ焼きの無料振る舞いがある。

 谷本さんは「民謡や踊り、津軽三味線の力強い演奏などを楽しみ、心を癒やして頂ければ」と来場を呼び掛けている。

 問い合わせは谷本さん(0595・67・2168)まで。

2022年11月5日付831号1面から

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