ユネスコ無形文化遺産に登録された「勝手神社の神事踊」

【2018年10月に奉納された「勝手神社の神事踊」=伊賀市山畑で】

 文化庁は11月1日、ユネスコ無形文化遺産候補の事前審査を行うユネスコの評価機関が、三重県伊賀市山畑の「勝手神社の神事踊」(国指定重要無形民俗文化財)など全国に41件ある民俗芸能「風流(ふりゅう)踊」を登録するよう勧告した。11月末からモロッコで開かれる政府間委員会で最終決定される予定。

 文化庁の資料などによると、各地に伝承されている風流踊は、盆踊や小歌踊、念仏踊、太鼓踊など、歴史や風土に応じたさまざまな形がある。趣向を凝らした衣装や持ち物が特徴的で、笛や太鼓、かねなどでにぎやかにはやしたてて踊り、災厄をはらい安寧な暮らしを願うという目的は共通しているという。

 「勝手神社の神事踊」は、胸に「カッコ」と呼ばれる太鼓を携えた「中踊り」や「歌出し」、大太鼓の「楽打ち」ら二十数人で行う。保持団体「勝手神社神事踊保存会」の会員は山畑の住民で、毎年10月の第2日曜にある秋祭りで奉納されている。

 勧告が行われたことを受け、伊賀市の岡本栄市長は1日、「世界の宝としてその価値が認められたことを、大変喜ばしく誇りに思います。長い間、保存と継承に携わってこられた保存会を始めとする関係者や地域の皆さまに改めてお礼を申し上げます」とコメントを寄せた。

 国内では、同市の「上野天神祭のダンジリ行事」など2016年までに全国33の行事が登録された「山・鉾・屋台行事」を始め、能楽、歌舞伎、和食など計22件がユネスコ無形文化遺産に登録済み。今回は、既に登録されている神奈川県三浦市の「チャッキラコ」に他の風流踊を加える拡張提案となっている。

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