【つる草が茂る電話ボックス=伊賀市木興町で(10月11日夜撮影)】

 携帯電話の普及で、最近はあまり意識することがなくなった公衆電話。自然にのみ込まれるかのように、いつの間にか植物に占拠されてしまった電話ボックスが見つかった。

つる草が茂る電話ボックス内=同

 この電話ボックスは、三重県伊賀市木興町の国道422号沿いに設置されているもので、下部の隙間から入り込んだつる草が中にはびこり、人を寄せ付けない異様な光景となっていた。

 荒れて使用できないようにも見えたが、夜になるとボックス内が蛍光灯の白い光で照らされ、電話機本体の液晶ディスプレーもオレンジ色に点灯。「役目を終えていないぞ」と主張するように、闇の中に浮かび上がっていた。

 NTT西日本三重支店の広報担当者は「2か月に1回、清掃を含めて点検しており、この公衆電話は今年8月22日の点検記録がある」と話す。YOUの記者が現場を訪れたのは10月11日。植物の生命力の強さには驚くほかない。

公衆電話離れ加速 非常用は増加

 総務省のまとめによると、常設の公衆電話は2002年度末に全国に約58・4万台が設置されていたが、20年度末時点では約14・6万台に減少している。通話回数も02年度が約11・8億回だったが、20年度は約3000万回まで減少しており、公衆電話離れが加速している。

 一方、災害時に避難者が無料通話できる非常用電話「特設公衆電話」は増加しており、緊急時の避難所などでの活用が見直されている。NTT西日本と伊賀・名張両市は20年に設置協定を結んでいる。

 同三重支店によると、常設の公衆電話の設置台数は10月14日現在で伊賀市が90台、名張市が48台。特設公衆電話は3月末現在、伊賀市が106台、名張市が80台。

2022年10月22日付830号27面から

【訂正します】830号の紙面記事で2020年度の公衆電話の通話回数が「約3千回」とあるのはあるのは「約3千万回」の誤りでした。

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