ライブ演奏でファン増やす
津軽三味線に魅せられた三重県伊賀市畑村の団体職員、岩野和麿さん(24)が、ライブなどでファンを増やしている。
小学生のころから師範の祖母に長唄三味線を習ってきたが、ある時の発表会で出会った速弾きの津軽三味線に心奪われた。細いフォルムでゆったりと雅に弾く長唄三味線に比べ、太いさおで、たたきつけるように激しく弾く津軽三味線は憧れとなった。
その時は「長唄三味線をマスターしてから」と諭され諦めたが、大学進学後に祖母から「合格」をもらい、晴れて津軽三味線を習い始めた。初めて弾いた時は「心臓が震えた」といい、「自分のものにしたい」という思いを深めたそうだ。
大学3年の時、地元の若い世代の声を市政などに役立てる「伊賀市若者会議」の立ち上げに参加。そこで企画したプロジェクト「伊賀音楽の集い」で2019年10月、初めて演奏を披露した。翌年2月14日にあったライブではバレンタインデーにちなんで“投げチョコ”をたくさんもらったといい、若い三味線ファンを増やしていった。
「観客の反応が返ってくるのがライブのだいご味」と語る岩野さん。ライブでは必ず三味線の歴史や曲に秘められた物語を伝えるようにしている。何より津軽三味線には「一貫して『命』がテーマにあると思っている」といい、「命がけの楽器」という気持ちで弾いているのだという。
「自分が自分でいられるのが津軽三味線。喜んでくれる観客を見ていたら幸せだし、伝統文化でもあるので、伝承の意も込め、これからもライブに出演していきたい」と目を輝かせた。
岩野さんの活動などの詳細はインスタグラム(@kazumaro121)で発信している。
2022年8月27日付826号3面から
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