時間さえあればロッククライミングに出掛けている三重県名張市希央台の美和俊英さん(48)は、かつて愛知県に住んでいた時から市内の景勝地・香落渓へ足しげく通い、ついには「いつでも岩登りができる環境」を求め、2017年末に同市へ転居した。
ロッククライミングには、1人が岩を登る間、もう1人がザイル(ロープ)を保持して命を確保する、という役割分担がある。趣味の山歩きで、岩登り用のロープを持った人の姿を見てロッククライミングに興味が湧いたという美和さんは、山で出会った大阪在住のクライマーの女性から技術を教わり、現在もパートナーとして同行している。
「やるならきちんとやろう」と道具を買いそろえ、愛知にいたころは仕事終わりにボルダリングジムに通ってトレーニングをするなどし、常に道具などに問題がないかもチェック。もちろん恐怖心はあるが、きちんと準備をして安全を確保し、登り切れた時の安堵感や達成感があるからこそ、また岩場に向かうのだという。
急峻な渓谷が続く香落渓には、縦に裂け目が入った「柱状節理」が連なる。ザイルを固定する道具「カム」は、岩を傷付けず差し込んで使えるもので、下りには回収し痕跡を残さないため、自然環境にも配慮している。
近隣府県の山を舞台に「天候が良ければ毎週のように」岩を登り、新型コロナの影響を受ける前は北米へのロッククライミングや、冬にはアイスクライミングにも出向いていた。30メートルほどの高さでも、慣れたルートなら15分から20分ほどで登って降りてくることができるといい、「岩場にはさまざまな年代の人たちが入れ替わり立ち代わりやってきて、交流が深まり友人の輪が広がる。これからも楽しく登り続けたい」と話していた。
2022年7月30日付824号3面から
- Advertisement -