【地中から掘り起こしたカプセルと卒園生ら=名張市丸之内で】

 2000年に三重県名張市立名張幼稚園(丸之内)の創立30周年記念で園庭に埋められたタイムカプセルが8月13日、約22年の時を経て開封された。来年3月の閉園を前に実現した集いに、卒園生ら約80人が参加。懐かしい品々と再会し、当時の思い出に浸った。

カプセルの中から現れた品々を前に懐かしさに浸る卒園生たち=同

 カプセルは2000年11月、園児147人や保護者らが園庭の藤棚の下に埋め、20年後の2020年に開封する約束を交わしていた。当時の保護者会役員らは実行委員会を結成し、2年以上前から準備を進めてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、2年連続で掘り起こしが延期になっていた。

 昨年8月には、園児数の減少に伴う市立幼稚園・保育所の統廃合で、名張幼稚園を22年度末で閉園する方針を市が発表。「閉園前に集まって掘り起こし、開封したい」との思いで、この日ようやく実現した。

 園長だった山村弘子さん(78)は駆け付けた卒園生たちを「おかえりなさい。待っていました」と迎えた。卒園生らは小雨の中、園庭に移って藤棚の下をシャベルで掘った。深さ約1・5メートルの地中から金属製の円筒のカプセルが見えると、歓声と拍手が起こった。

 室内で30周年記念式典の映像上映の後、カプセルを開封。中からは園服や帽子、当時流行したキャラクター玩具、小型ゲーム機、カレンダー、親から子へのメッセージ集など約70点が次々に現れ、参加者は顔をほころばせた。

 卒園生で名古屋市から参加したシステムエンジニアの米山久光さん(28)は「ポケモンが好きで集めた楽しい思い出がよみがえった。メッセージ集からは、今と変わらない親の思いが感じられた」と笑顔を見せた。当時の保護者会長で実行委員長の松林敏さん(63)は「無事に開封でき、安心した」と話した。

 同園では、タイムカプセルの中身を来年1月末まで保管する。卒園生は、事前連絡で見ることができる。

 問い合わせは同園(0595・63・3280)まで。

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