【梶木さん一家=名張市上八町】

 青い海が広がる沖縄・宮古島生まれの夫妻が、緑豊かな山に囲まれた名張へ移住。地元の人たちに支えられながら、5人の子どもを育てている。

宮古島の海での梶木さん夫妻(提供写真)

 この家族は、三重県名張市上八町の公務員、梶木優平さん(32)と、妻で看護師のさつきさん(33)、優馬君(7)、ひまりさん(6)、ひなのちゃん(4)、元喜ちゃん(3)、龍ちゃん(1)の7人。

 夫妻はともに宮古島市出身で、同じ高校の同級生。1年生から交際を始め、卒業後は、梶木さんは救急救命士を、さつきさんは助産師を目指してそれぞれ進学。山口県と鹿児島県という遠距離にはなったが、「人を救う」という目標に向かって互いに励まし合った。

 就職はともに大阪府高槻市で。梶木さんは「後に見聞が広がるだろう」と介護や接客などの職に、さつきさんは「御礼奉公のため」看護師として働き、2014年に結婚した。

田も山も新鮮

 転機は、梶木さんが挑戦し続けていた救急救命士の職を名張市が募集しているのを知ったこと。実はさつきさんの母親の幼なじみが同市に住んでいた縁で訪問することもあったのがきっかけで、迷わず応募。見事採用となり、18年4月、家族で転居した。

 「冬は寒かった」と当時を振り返る夫妻。故郷の島には少ない田んぼが珍しく、山も新鮮だったという。当初、地域の人たちが子どもをあやしてくれたり、野菜を分けてくれたりし、島での生活と似ていたという。今では職場のスタッフや近所の人たちも子育てに協力的で、「皆で育ててもらっている」と実感しているそうだ。

 米や水もおいしく、両親も名張に来た際には感動し、すっかりファンになっているとか。また、周囲に沖縄県出身などゆかりの人が多いことにも驚いているという。

 20年10月には念願のマイホームも建設し、すっかり名張に根をおろした。「いずれは私たちが支えてもらったように地域の方々に恩返ししたい。このままここで5人の子どもたちものびのび育ってほしい」と笑顔を向けた。

2022年7月30日付824号8面から

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