【庭先に咲くバラを紹介する植田さん=伊賀市東湯舟で】

 三重県伊賀市東湯舟の植田恭子さんが自宅で丹精込めて育てる約120種のバラが、今年も咲き誇り、庭を甘い香りに包んだ。2年前に植田さんが名付け親となった新種のバラ「クードゥクール」もかれんに花開く。

「クードゥクール」の春の花

 仕事で市内の家々を訪問する植田さんは、バラが咲く庭を見る機会もあり、次第に憧れを抱くように。10年前に12種の新苗をインターネットで購入し、栽培を開始。本を読んだり、津市の植物園で開かれる講習会に参加したりして育て方を学んだ。市内外の“バラ友”とも交流を深めるうち、徐々に品種も増えていった。

意味は「一目ぼれ」

 そんな中、2019年に千葉県の京成バラ園が新しい種類のバラを発表し、名前を募集する企画があった。春には白系、秋には薄紫の花を咲かせ、中央にアイラインと呼ばれる模様が入るバラで、花の写真を見た植田さんはその印象から、フランス語で「一目ぼれ」を意味するクードゥクールの名前で応募。全国から寄せられた約500件の中から採用された。その後は、雑誌やテレビなどでクードゥクールが紹介されるたびに「我が子が活躍しているよう」と喜びを感じるという。

「クードゥクール」の秋の花(提供)

 もちろんクードゥクールは植田さん宅でも栽培しており、最も中心の目立つ場所にある。「花付きが良く、香りも良い。秋の花もまた色が濃く、魅力がある」と話す。普段は「クーちゃん」と呼んで愛情を注いでいる。

 そんな植田さんでも、120種のバラを育てるのは容易なことではない。せん定や施肥、除草、消毒など、1年を通して多くの世話が必要で、勤務がある平日も夜明け前から作業に当たる。

 植田さんは「夢中になれることがあるのは幸せなことで、暮らしに潤いを与えてくれる。協力的な夫や、姑の介護を助けてくださっている施設のスタッフの皆さまに感謝したい」と話していた。

2022年6月11日付821号2面から

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