【訓練で線路上の陸閘を閉じる消防団員=伊賀市東高倉で】

 台風や集中豪雨に備え、国土交通省木津川上流河川事務所などは6月4日、三重県伊賀市東高倉の伊賀鉄道新居駅近くの線路上にある陸閘(りくこう)を閉鎖する訓練を実施した。陸閘は、川の水があふれて市街地に流れ込むのを防ぐ可動式の壁。同事務所職員や市消防団員ら約50人が参加し、操作方法を確認した。

 同事務所によると、新居駅近くの陸閘は「伊賀鉄道第1陸閘」と呼ばれ、アルミ合金製で幅約7メートル、高さ約0・6メートル。上野遊水地を囲む堤防より同鉄道の線路が若干低い位置を通ることから国が建設し、周辺整備を含め、約6・5億円かけて今年3月に完成した。

 上野遊水地は市内を流れる服部川と木津川の洪水調整施設で長田、木興、小田、新居の4つの遊水地から成り、2015年に運用開始。広さは計約250万平方メートル、貯水能力は900万立方メートルとされる。伊賀鉄道第1陸閘の他に、道路上の陸閘が計3か所あるという。

 伊賀鉄道第1陸閘は、下流の岩倉峡にある岩倉水位観測所で水位が8・4メートルに到達した時に閉鎖する。同事務所が市に指示し、市消防団上野北分団が作業に当たる。この水位に達したのは、過去20年間で13年9月の台風時の1回のみだという。

 この日は完成後初めての訓練で、参加者はゴム製の板でレールの隙間を埋め、線路上に板状のパーツを取り付けた後、片開きの門を手でゆっくりと押して閉じ、3班に分かれて繰り返し手順を確認した。

 同事務所の矢間孝司技術副所長は「近年、災害は頻発化、激甚化していると言われ、日頃から準備しておかないと対応できない。今後も年1回以上、訓練していく」と話した。

 訓練中、伊賀鉄道はこの区間を通る列車を運休し、バスでの代替輸送を行った。

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