【宇陀川の水中で4月25日に撮影されたコクチバスの成魚(木津川上流河川事務所提供)】

国交省木津川上流河川事務所が試験実施

 河川での分布拡大が懸念される特定外来生物のコクチバスについて、国土交通省木津川上流河川事務所(三重県名張市木屋町)はドローンを活用した実態調査と駆除活動を名張市の宇陀川で試験的に実施した。繁殖抑制のため、4月28日には赤目口橋下流の川底で見つかった産卵床を破壊する駆除作業が行われた。

宇陀川で行われたコクチバスの産卵床破壊活動(同)

 同省によると、コクチバスは北アメリカ原産のスズキ目サンフィッシュ科の淡水魚で、いわゆるブラックバスの一種。河川や湖沼に生息し、春から初夏にかけての繁殖期に川底に直径60センチ程度の産卵床を形成する習性がある。繁殖力が強く、国内では1990年代から生息域が拡大。アユなどの魚やエビ、ヤゴなどを捕食し、在来の生態系へ悪影響があるとして、国が外来生物法に基づく特定外来生物に指定し、飼育や移動、放流などを禁じている。県内では2012年に宇陀川や木津川で初めて確認された。

 駆除方法の一つに産卵床の破壊があるが、産卵床の把握はこれまで目視が中心で、人が立ち入れない場所への探索に限界があることなどが課題だった。同事務所では群馬県での取り組み事例を基に、ドローンを使って産卵床の調査をする方法の導入を試みることにした。

 25日から委託業者がドローンと目視で宇陀川を調査したところ、赤目口橋付近約400メートルの範囲で4つの産卵床が確認された。28日は、同事務所や委託業者、地元漁協の関係者計7人が駆除に参加。胴長を着用して川に入り、確認した産卵床のうち水深約90センチの川底にある1か所の産卵床を足で踏んだり、スコップでかき混ぜたりして壊し、繁殖できないようにした。他の3か所は前日の降雨による増水の影響で自然に消滅していたことが確認された。

 同事務所の担当者は「ドローンを使った方法が有効かどうか検証し、取り組みを進める。市民にも協力してもらえるよう周知し、コクチバスを駆除していきたい」と話している。

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