【3匹のヤギの世話をする小野さん=名張市で】

 2月に生まれたばかりの子どもと合わせ3匹のトカラヤギとにぎやかに暮らす、三重県名張市つつじが丘南の小野義憲さん(73)。「昔の日本のようにヤギがいっぱいいる世の中になるのが夢」だという。

 昨春、姉から「何か飼ってみたら」と勧められ、インターネットで検索したところ、トカラヤギに心ひかれた。全国のペットショップを調べ、岩手県にある店を訪れることにした。

 実は、コロナ禍以前にキャンピングカーで全国を3周したことがあるといい、今回も愛車を運転して6月に3日かけて岩手を訪問。4月生まれの雄を引き取り、「クッシー」と名付けた。

 空調完備のサンルームがクッシーの住み家。遊んでもらうのが大好きで、ボールやサンドバッグで小野さんと一緒に遊ぶ。散歩もするが、寄り道ならぬ草を食べる“道草”ばかり。毎週金曜は「プチぜいたく」と称して、市内にある動物同伴が可能なカフェに出掛ける。小野さんが1人で外出すると寂しがり、じっと帰りを待っている姿がいじらしかったそうだ。

 寂しさを解消してあげようと、10月にはクッシーを連れ、長崎県まで“お嫁さん”を迎えに行った。2日間の道中でもクッシーは大人気。熊本県で遊んでもらったお姉さんたちに「お嫁さんは『チョッパー』にしてね」とお願いされ、新しく迎えた雌は「チョッパー」と命名。以来、2匹は仲良く暮らしていた。

 今年1月、チョッパーの「おっぱい」が張ってきていることに気づき、「おめでただ」と喜んだ。予定日は3月上旬になると予想し、楽しみにしていたところ、2月8日に突然チョッパーに陣痛が訪れた。獣医に連絡する暇もなく、ヤギのお産を事前に動画投稿サイト「ユーチューブ」で勉強していたという小野さんが介助。無事生まれた雌の子ヤギが、5、6分で立ち上がった時はこの上なくうれしかったという。

 現在のチョッパーは、かいがいしく子ヤギの世話をする優秀な母ヤギだそう。周囲の人たちも親切に接してくれているといい、「野菜の差し入れをしてくれる近所の方々や、野菜直売所『せいりゅうの里長瀬』の皆さんには感謝しかない」。今後、生まれた子ヤギはチョッパーの子であることと芸能人にもあやかり、「ミチョパ」と命名する予定だ。

2022年3月12日付815号2、3面から

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