【趣味部屋でコレクションを紹介する威能さん=伊賀市富永で】

レコード2000枚所蔵

 「高校生の時に出会ったレゲエ音楽が今の自分につながっている」という三重県伊賀市富永の会社員、威能光一郎さん(35)は、「食と健康」を重視するというレゲエ音楽の原点とも言える農業をやりたいと、7年前に移住してきた。

ジャマイカ訪問「価値観が変容」

 鈴鹿市出身で、元々ブラックミュージックが好きだった。高校生だった2000年代前半、カリブ海の島国・ジャマイカ発祥のレゲエ音楽のブームが再来。聞く曲全てが衝撃的で、「自分の中の常識や価値観が崩れていく」感覚で夢中になった。

 仕事をしながら、休日はクラブや音楽フェスでDJとして活躍していた24歳の時、「レコードの買い付けと本場を見てみたい」とジャマイカを訪問し、現地の熱量に圧倒された。ただ、英語が話せなかったのが悔しかったといい、ワーキングホリデー制度を利用し、オーストラリアの農場で1年間働きながら資金を貯め、語学力を磨いた。

寝食ともに変わる価値観

 26歳で再びジャマイカを訪問すると、北海岸に面した都市モンテゴ・ベイに滞在し、現地の人たちと3か月間寝食をともにした。「暮らしは貧しいけれど、採れたてのものを食べてとても楽しそうな彼らと居ることで『こういう生活があるのか』と、また価値観が変容していった」という。その後、農業を学ぶためオーストラリアでの農場生活に戻り、1年後に帰国、伊賀にやってきた。

「どんな環境でも明るくポジティブに」

 現在は会社で米作りに取り組み、自身の畑では野菜を育て、現地で買い付けたものがほとんどだという約2000枚のレコードをコレクションしている。レゲエの深みがより理解できるようになったといい、「どんな環境下でも明るくポジティブに生きることはできるし、それが大切」と話した。

2022年1月29日付812号3面から

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