【庁舎内の大半が消灯しても続く保健所業務=伊賀市四十九町で】

 新型コロナウイルスの感染が全国的に急拡大する中、三重県の伊賀地域にも流行の「第6波」が押し寄せている。伊賀・名張両市を管轄する伊賀保健所の業務はひっ迫している。

伊賀保健所の土屋所長=同

土屋英俊所長に聞く

 「第6波は感染力が強く、爆発的に感染者が増えており、先が見えない。患者が増えると呼吸困難など症状の重い人も増加するため、病床が足りなくなる危険性も否定できない」。土屋英俊所長(60)は厳しい表情だ。

 県内では、今年1月上旬から感染が急拡大。1日当たりの新規感染者は12日に100人を超え、20日には300人を超えた。同保健所によると、管内では1月6日まで感染者は0人が続いていたが、その後は驚異的なペースで急増。伊賀・名張両市の自宅療養者は24日現在で計約450人に達している。

 保健所が入る県伊賀庁舎(伊賀市四十九町)2階では、他部署との兼任、第5波の教訓から構築した応援体制で本庁から駆け付けた職員などを含む約30人態勢で、ひっきりなしにかかる電話への対応に当たっている。「熱は何度になりましたか」「のどの痛みは改善しましたか、良かった」。感染者の行動調査、自宅療養者への健康観察、医療機関との調整など、多忙を極める。

ひっきりなしにかかる電話に対応する職員=同

 両市からも保健師など応援職員が10人ほど派遣、パソコンが設置されていないテーブルも使って必死にメモを取りながら対応している。土屋所長は「夜になっても医療機関から新たな連絡が次々に入り、日付が変わる深夜まで業務が終わらない。そんな中、『疲れたなんて言っていられない』と使命感で動く職員たちの頑張りで何とか維持できているが、これ以上感染者が増えたら更に対応が厳しくなる」と危惧する。

 第6波で増える自宅療養者への対応では、重症化の兆候を見逃さないことを最重視しているが、患者と職員をつなぐのは基本的に毎日の電話だ。限られた情報の中、判断には冷静さが求められるが、感染者が増え続ける状況では、ますます対応が難しくなる一方だ。

 土屋所長は、変異株の検査が全てできる状況ではなくなっているとしつつも、「感染力の強さから考えるとオミクロン株に置き換わっている可能性が高い」。第6波で多い症状は、せきや鼻水、たん、のどの痛みなど上気道の症状。発熱は37度から39度が2、3日続いた後に解熱する人が多いが、中にはなかなか改善せずに症状が重くなり、入院しなければならなくなることもある。高齢者や基礎疾患のある人は重症化しやすいとされるが、基礎疾患のない若い人も入院が必要になるケースが出ていると警鐘を鳴らす。

「今一度、予防徹底を」

 「第5波より、若い人の間で感染が広がっている傾向だが、介護施設などでクラスターが発生すればたちまち高齢者に感染が広がる可能性がある」と指摘する土屋所長。「感染した後にどうなるかは、人によって異なり、全くわからない。たとえ自分の症状が軽く済んでも、強い感染力によって身近な人が感染、重症化する可能性がある。一人ひとりに三密対策、マスク着用、手洗い、手指消毒、換気など感染予防を今一度徹底して頂く、ただそれしかない。どうかお願いしたい」と協力を求めた。