【トマトの支柱にくくり付けた傘が並ぶ寺岡さんの畑=名張市蔵持町里で】

 傘の下には、丸々とした青い実!? 三重県名張市蔵持町芝出の寺岡純一さん(82)が自宅近くで耕す約40平方メートルの畑に、約20本の雨傘が並ぶ一角がある。寺岡さんが愛情込めて育てるトマトを、不要になった傘が今年も梅雨から守り抜いた。

 寺岡さんは定年退職してから畑を耕しており、現在は黒豆やキュウリ、ゴボウなどを栽培。畑の傘は、鈴なりに実るトマトを病気や実割れから守る雨除けで、20年ほど前に友人から教えてもらった方法だという。毎年梅雨前に支柱にくくり付け、夏空が広がるまでの間、設置している。

 たくさんの傘は、電車やバス内の忘れ物で保管期限を過ぎ廃棄対象となったものを、鉄道やバス会社関係の友人から譲ってもらい活用しているという。寺岡さんは「ビニールシートを買って奇麗に覆う人も多いが、この方法が何より安く、赤々とした良い実が成る」と笑顔で話した。

2021年7月31日付800号6面から

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