【「明日晴茶」とアスパラを紹介する中井さん=伊賀市で】

人気呼ぶ新たな土産物

 三重県伊賀市で「瑞雲ファーム」を経営する同市桐ケ丘7丁目の中井奈緒美さん(39)が、特産のアスパラガスを焙煎した茶を考案。市民参加型プロジェクト「観光まちづくり企画塾(まち塾)」の「伊賀のあたらしいみやげ」の一つとして人気を呼んでいる。

 義父の急逝から、農場を引き継いで4年。閑散期を利用したシイタケ栽培も順調な中、アスパラガスを使った独自の商品開発を考えていた。スープやジャムなどを試作したが、商品化には至らなかった。

 昨夏、小学生の長男が「食品乾燥機でアスパラガスを乾燥してお茶にしてみよう」とひらめいた。煎ったものに湯を注いだ瞬間、「これはいける」と直感するくらい、甘味があり香ばしくおいしかったという。

 商品開発を始めたのと同じくして、市の観光振興を考えるまち塾にも参加。アスパラ茶を提案したところ、土産物の一つとして採用されることになった。商品名は、塾のメンバーらと「仕事や子育てに頑張っている人がほっと一息ついて、『明日は晴れる』と元気になってもらいたい」との思いを込め「明日晴(アスパラ)茶」とした。

 パッケージにもこだわり、デザインは同市島ヶ原のイラストレーター田槙奈緒さんに依頼。薄緑色の円筒の表面に可愛いアスパラガスの絵が描かれ、ふたを開けるとイラストの世界の続きが広がっている。

 “茶葉”は素材が分かるよう、あえて長いまま。3本ほど入れ、200ミリリットルの湯で5分ほど抽出する。10分から15分蒸らすと甘みも増し、塩を加えればスープにもなる。

 2月下旬から販売を始めたところ、「元気になる」「映える」とSNSなどで一気に火が付いた。30グラム入り税込み1620円で、市内の名阪上野忍者ドライブイン(大内)、「西町や かかん」(上野西町)、同ファームの公式サイトなどで販売している。

 中井さんは「農業を継ぐことで、切っても切れない『食』を再認識した。アスパラガスの産地である伊賀のこの風景が100年先も残るよう頑張っていきたい」と目を輝かせた。

2021年5月15日付795号11面から

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