音楽活動を通じ、障害のある人の生活を支える「補助犬」の普及・啓発を後押ししている名張市赤目町新川の歌手、YUMICOさん。来年3月27日に同市松崎町のadsホールで開かれるデビュー15周年コンサートでは、引退した盲導犬を主人公にした新曲を初披露する。 【コンサートをPRするYUMICOさん(右から2人目)と井上さん(同3人目)ら=名張市鴻之台1の名張市役所で】

 補助犬は「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」の3種類を指す。NPO法人三重補助犬普及協会によると、県内では現在、盲導犬8頭と介助犬1頭が利用され、名張市には2頭の盲導犬がいるという。

 2004年に歌手デビューしたYUMICOさんは、長女がアニマルボランティアを学ぶために豪州へ留学したのをきっかけに盲導犬に関心を持ち、地元や関西で年2、3回開くコンサートを通じて啓発活動に取り組んできた。12年ほど前に伊賀市であったコンサートで、盲導犬「サクセス」と暮らす井上スズ子さん(67)(名張市富貴ケ丘)と出会い、親交を深めてきた。

 盲導犬は一般的に、10才くらいになると利用者と別れ、引退する。サクセスは井上さんにとって初めての盲導犬だったが、約8年間生活をともにし、5年ほど前に井上さんの元を離れた。現在は、愛知県内の家庭で飼い犬として余生を送っている。

 「サクセスにもう一度会いたい」。そう考えた井上さんは今年10月上旬、2代目の盲導犬「ドリーム」(雌、7才)を連れてサクセスの元を訪ね、5年ぶりに再会を果たした。同席したYUMICOさんの目に映り、心に残ったのは、盲導犬と利用者との心の交流―。それが新曲を完成させるきっかけになった。

 井上さんは「盲導犬と暮らし始めてから行動範囲が広がり、安心して街を歩けるようになった。補助犬への理解を広めてくれているYUMICOさんの活動がとてもありがたい」と話す。YUMICOさんは「盲導犬を始めとした補助犬たちの役割を、これからもコンサートや新曲を通じて多くの人に知ってもらえたら」と話していた。

事前応募でカラオケ大会も

 コンサートは同協会とYUMICOさんの所属事務所・楽音(幹)企画の共催。2部制で、午前11時半からの第1部は事前に応募した50人によるカラオケ大会、午後3時からの2部はYUMICOさんの歌謡ショーを予定。開演前から、補助犬の啓発や募金活動なども行われる。チケットは新曲CD付きで1人2千円(名張市社会福祉協議会への寄付金100円含む)。

 問い合わせは同事務所(090・1620・4678)まで。

2020年11月7日付783号6面から

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