国の文化審議会は11月20日、名張市本町の「旧喜多藤」など7件を含む全国104件を新たな登録有形文化財(建造物)にするように文部科学大臣に答申した。【旧喜多藤別館の外観=名張市本町】

 国登録有形文化財は、消滅の危機にさらされている文化財建造物を後世に残していくための制度。今回、対象になったのは旧喜多藤の別館、大広間棟、翠明荘、皐月寮、艶秀亭、便所棟、表門の計7件。

 初瀬街道に面した本町通りに位置する喜多藤は、屋号「北出屋」として明治時代以前から旅館を経営していた。後に「喜多藤」と改名し、1981年に廃業するまでは、名張川沿いに建つ料亭旅館として隆盛を誇ったという。

 別館は切妻屋根の木造2階建てで、建築面積は、209平方メートル。大広間棟は入母屋屋根の木造2階建てで、44畳の大広間があり、結婚式の披露宴会場などに利用されていたという。

皐月寮の茶室=同

 翠明荘、皐月寮、艶秀亭、便所棟は木造平屋建て。翠明荘と艶秀亭には客室が、皐月寮は4畳の茶室が設けられている。

 調査を担当した市文化財調査会委員の岩見勝由さんは「名張の町で、これほど大きくて栄えた旅館は現存していない。保存状態も良く、当時の姿が残っている」と評価した。