新型コロナウイルス感染防止のためにマスクの着用が求められているなか、のどの渇きを感じるのが鈍くなったり、脱水症状や熱中症の可能性が高くなったりする「マスク熱中症」についてお話しします。(このコーナーは現役看護師のライター・林のぞみが担当しています)

 熱中症の原因は、気温・湿度が高くなるこの季節、体内の熱が体外へ発散できず、脱水を起こしたり電解質のバランスが崩れたりすることによって起こります。

 特に子どもや高齢者は、その機能の調節がうまくいきにくいため、熱中症を起こしやすいといえます。気温があまり高くなくても、湿度が高いと発汗がうまく行えないのです。

 今までの熱中症の予防はしつつ、「密集・密接・密閉」の3密を避けるといった「新しい生活様式」を考えることも必要になっています。そこで、次の7つのポイントを紹介します。まだまだ暑さもこれから。元気に夏を乗り切りましょう。

①暑さを避ける エアコンで室温の上昇を避けつつ、適宜換気を。暑い日中はなるべく外出を避けてください。外出時は日傘や帽子を忘れず、涼しい場所を選んで歩き、こまめに水分補給をしてください。

②適宜マスクは外す 外でも人と2メートル以上の距離が空いている時はマスクを外す。屋外で仕事をしている人も、周囲との距離を考えながらマスクを外して休憩を取りましょう。

③水分補給 1日1・2リットルを目安に、発汗量の多い人はそれに応じて多く水分を取りましょう。スポーツドリンクや塩あめ、梅干しといったミネラルの補給もとても大切です。のどが渇いていなくても1時間に100ミリリットル以上の水分は取りましょう。

④体力維持 適度な運動をしましょう。無理のない程度に体を動かすことはとても良いことです。

⑤健康管理 体温測定や、年に1回健康診断を受けることは、日頃の自分の体を知るうえで必要だと思います。

⑥バランスのとれた食事 カリウムは、不足すると細胞の脱水が起こるので大切です。ホウレンソウやバナナ、ヒジキなどがおすすめ。ビタミンB1は疲れにくい体づくりに必要で、豚肉に多く含まれています。タマネギと一緒に取ることで吸収率を高めます。大豆やのりにも含まれます。クエン酸は疲れの原因となるものを抑え、ミネラルの吸収をサポートします。梅干し、レモン、酢などに含まれます。

⑦グッズ 市販の熱中症対策グッズを上手に活用しましょう。今はハンズフリーの扇風機が人気ですよね。首から下げている人を時々見かけます。扇風機の後ろにアイスパックを装着すると冷たい風が流れるようなアイデア商品もあるようです。顔の周りにたまった暑い空気を扇風機で逃がすのは良いことです。首を冷やすのも効果的。動脈が通っているので、そこを冷やすと、血液が冷えて体温の上昇を抑えます。濡らして使用する冷感タオルなどがおすすめです。ひんやり感じるマスクも販売されていますが、自分に合った商品を上手に選びましょう。

2020年8月8日付777号7面から

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